8月2日、川崎市の首都高速湾岸線でポルシェを運転する50歳の男(事故当時)が、前方を走る乗用車に衝突。乗用車に乗っていた高齢者夫婦が死亡する事故が起こった。
警察は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の容疑で男を現行犯逮捕。現場にはブレーキの跡がなく、乗用車の後方部分が大破していることなどから、男がブレーキを踏まずに追突したとみて調べを進めている。
と、そんななか、8月7日発売の「フライデー」が、愛車ポルシェを運転中だった巨人・小林誠司が8月1日、自転車と衝突事故を起こしていたことをすっぱ抜いた。記事によれば、現場となった交差点は見通しが悪く、事故が頻発するため、立て看板が設置されていたというが、
「小林選手は路地から環状7号線に出るため左折しようとした際、直進してきた自転車と接触し、事故後、自身がすぐに110番通報。自転車の男性は右足を打撲する軽いケガだということです」(社会部記者)
小林は6月21日の阪神戦で、左腕に死球を受け、左尺骨を骨折。同23日に登録抹消となり、以降リハビリに取り組んでいたが、昨年1月にも大阪府内でポルシェを運転中、停止していたクルマに衝突する事故を起こしていることもあり、SNS上には、
《軽くて良かったが、2年連続で接触事故とは。野球選手としては、いや野球選手だからこそ少し抜けた部分もあったりするんでしょうか》《ちょっと、注意力散漫なんじゃない? こんなんで、正捕手務まるんか》
といったコメントが相次ぎ、中には、
《また、ポルシェですか……?でも、自動車事故が起きると、どうして『ポルシェ』や『フェラーリ』だけ車名が報道されるの?》といった疑問の声も。
たしかに、川崎の事故をはじめ、小林に関する報道も、メディアの多くが「ポルシェ」と高級ブランド名で報道している。モータージャーナリストが語る。
「古くは2011年に中国自動車道で発生した8台が絡む多重事故では、『フェラーリ』という車種名がクローズアップされ、巻き込まれた『プリウス』の名が報道されることはありませんでした。また、2018年11月には阪神高速道路で無免許運転の医師が、216km/hで車を走行中、トラックに追突。トラック運転手が死亡し、懲役8年の実刑判決が下された事件の際も、多くのメディアが、医師が乗っていた車両を『ポルシェ』と実名で報道しています。理由は記事にメーカー名を盛り込むことで、読者によりわかりやすくニュースを届けるためですが、もちろん、ポルシェだから事故が起きたのではなく、事故は運転者の責任。ただ、やはり、スピード=事故=ポルシェ、フェラーリとなると、インパクトがある。決してポルシェを悪者にしようとしているわけではないと思うのですが……」
とはいえ、ことあるごとにブランド名で報道されることに、忸怩たる思いを感じるポルシェ・オーナーも少なくないという。20年に渡るポルシェのオーナーが語る。
「本来、ポルシェは誰もが簡単に扱える車でないんです。それをブランド志向だけで買って乗り回すから事故が起きる。スピードが出る車だからこそ、それを取りまわすテクニックは必要不可欠。もし、公道でポルシェを走らせたいなら、そのことを肝に銘じてほしいですね」
罪を憎んで「車」を憎まず、といったところか。
(灯倫太郎)