平成の競馬“珍”&“怪”事件18(4)真っ青な表情で引き揚げ…

 デムーロのアクションといえば、その後もド派手な勝利ポーズで問題となっている。

 07年12月2日の中日新聞杯では、サンライズマックスで1着ゴールする時に、手綱を離した両手で飛行機ポーズをとってみせたのだ。

 その快感が忘れられないのか、14年3月30日の高松宮記念をコパノリチャードで勝った際も、同じポーズを披露。もちろん、いずれも危険な行為として裁決委員から厳重注意、過怠金を科せられたのは言うまでもない。

 確信犯のデムーロに対し、実に恥ずかしいミスを犯した新人騎手も。

「おや、まだ1周あるのに激しく手綱をしごき、猛スパートをかけている騎手がいる」

 それは観戦するファンがアゼンとなる、前代未聞の珍事だった。18年10月13日の新潟6R、3歳上500万下戦でのこと。2番人気馬ペイシャエリートに騎乗する山田敬士(21)が、ダート2500メートル戦を1200メートル戦と誤認していたのだ。

 1週目のゴール板過ぎに手綱を緩めて周囲を見ると、みんなまだレース中。慌てて馬を鼓舞し馬群に取り付こうとしたが、馬はすっかり疲れていて最後尾をただ進んで行くのみ。結局、12頭立ての12着に終わってしまう。

 引き揚げてきた山田の顔は真っ青で、言葉を発することもできない。

「山田は競走距離誤認騎乗と見なされ、3カ月間の騎乗停止処分が下されました。普通ならこれで、このオーナーの馬に乗る機会はなくなるはずですが、そうではなかった。復帰後、初勝利を挙げたのは、同じオーナーのペイシャボムでした。『もう一度、チャンスを与えたい』というオーナーの恩情にしっかり応えてみせたのです」(競馬ライター)

 11年4月にWIN5が始まって以降、馬券で億万長者になることは夢でなくなった。それでも16年前に宝塚記念で約2億円を獲得した「ミラクルおじさん」の伝説は、競馬ファンの記憶から消え去ることはないだろう。

 03年6月28日、宝塚記念前日のスポーツ紙に「ヒシミラクルの単勝を1200万円以上(正確には1222万円)買った人物がいる」と報じられた。

 最有力馬シンボリクリスエスを差し置いて、人気薄であろうヒシミラクルになぜそんな大金を‥‥。これが一般競馬ファンの感想であり、ヒシミラクルの土曜前売りオッズが1番人気1.9倍に躍り出るという驚きの事態に「裏に何かあるのでは」と勘ぐり出したものだ。

 これで馬券が外れてしまえば「夢物語だった」で終わってしまうが、なんと、ヒシミラクル(レース当日は6番人気の単勝16.3倍)は激走し、1着に。その結果、この「ミラクルおじさん」は1億9918万6000円をゲットしたことになる。

「しかしマスコミの目を恐れたのか、9323万円の課税金額をどうにかうまくクリアしようと考えたのか、大口の払い戻し窓口に現れることはなかったそうです。そのため、何万円かずつ当たり馬券をバラして交換したに違いない、と言われたりもしましたが‥‥」(競馬ライター)

 本当のところはどうだったのだろうか。

これがまさかの珍&怪事件だ!

1990年11月11日 京都10R:エリザベス女王杯騎乗の横山典弘がゴール20メートル手前から、早すぎるガッツポーズ。裁決委員から戒告処分を受けた。

1996年8月31日 中山10R:シンコウウインディが直線抜け出したものの、内にいたダイワオーシャンに大きく口を開けてかみつき、失速して2着に。2カ月後にも、逃げた馬にかみつきにいった。

1999年5月16日 東京10R:緑風Sでの1着入線後に1.7キロの斤量不足が発覚して、シンコウシングラーは失格に。騎乗した柴田善臣と栗田博憲調教師に、それぞれ20万円と50万円の過怠金が科された。

1999年10月10日 東京2R:デビュー戦に臨んだゼンノエルシドが出走牝馬を見て興奮し、ゲート入り前から馬っ気全開。ゲートが開いてからもイチモツを出しながら走り、勝ってしまった。

1999年12月26日 中山9R:武豊が有馬記念で負けたのにウイニングラン、調教師もガッツポーズをした。長い写真判定の結果を待たず、勝ったと思ってのパフォーマンスだったが、結果はハナ差2着。

2001年7月18日:田原成貴調教師が管理馬フジヤマハクザンの左耳に埋め込んだ発信器を、担当厩務員が発見。しかし動機解明が不十分なまま、田原師は過怠金50万円の処分で終わってしまう。

2003年4月20日 中山11R:M・デムーロが皐月賞V後に、2着・田中勝春騎手の頭をドツく。ガッツポーズのつもりが、たまたま隣にいた田中の頭に「やったぜ!」とやったらしいが・・・。

2003年6月29日 阪神11R:宝塚記念でヒシミラクルの単勝に1220万円を入れたファンがおり、土曜の前売りオッズが1.9倍の1番人気に躍り出た。レース当日は6番人気に落ちたが、みごとに勝利。

2003年9月6〜7日 新潟:体調不良を理由に、武幸四郎がレース騎乗をキャンセル。実は交際中の高島彩に会いに東京へ行き、お好み焼きデートをしていたことが発覚。JRAから厳重注意を受けた。

2003年12月28日 中山4R:デビュー戦のパドックで寝転んでしまったダイワメジャー。レースには出走したが、途中、手前を替えたらブーブーと大きなオナラをしたとか。それでも結果は2着。

2005年9月4日 新潟4R:障害戦で落馬したタイタニアムが逆走し、ゴール前の直線であわや衝突事故に。実況アナウンサーは注意を呼びかけて絶叫した。

2012年3月18日 阪神11R:阪神大賞典で3コーナーを曲がれず、外へ逸走したオルフェーヴル。後方2番手に下がるも、驚異の追い込みで2着に。2011年7月3日のラジオNIKKEI賞で、プランスデトワールが1コーナーを曲がれず逸走し、競走中止となったケースもあるが‥‥。

2012年12月22日 阪神5R:ブリュネット騎乗の四位洋文が残り50メートルで腰を上げ、追うのをやめた。結果、内から追い込んできた馬に差されて3着に。油断騎乗として30日間の騎乗停止処分。

2013年2月17日 京都2・3R:国分優作と恭介の双子の兄弟騎手が、2レース連続でワンツーフィニッシュという珍記録を達成。もちろん、史上初の出来事だった。

2016年6月4日 東京11R:白毛馬ブチコがゲートをくぐり抜け、外ラチに激突して越えると左前脚から鮮血。負傷したルメールは「この馬にはもう乗りません」。前走でもゲートをこじあけ放馬していた。

2017年2月19日 東京11R:M・デムーロが1着入線後、馬上で両手を広げる飛行機ポーズをとり、危険行為として注意を受ける。この3年前と10年前にも、同じ行為で罰金処分されていた。

2017年9月18日 中山1R:丹内祐次が最後の追い比べでひたすら右ムチを入れ続けて左にヨレさせ、隣を走る同じクラブ馬に何度もタックル。16日間騎乗停止処分に。

2018年10月13日 新潟6R:新人の山田敬士がレース距離を誤認。ダート2500メートル戦で、1周目の直線半ばで早くもムチを入れてスパートをかけ、ゴール板通過後にスピードダウンした。

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