7月1日よりすべての小売業でプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられるなど、国内で脱プラスチックへの意識が高まりを見せる中、国会でのある動きが波紋を呼んでいる。
自民党は去年12月、小泉進次郎環境相の働きかけなどにより、水筒などの「マイボトル」を委員会室に持ち込み可能とする案を参院議院運営委員会理事会に提出。通常、委員会ではコーヒーや氷水が用意されているのだが、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今年4月に氷水の提供が中止されることとなった。その影響もあり、一時は与野党合意でマイボトルの持ち込みが解禁されたものの、野党側が一転「試験的に1回限り同意しただけ」だと主張して、マイボトル持ち込み可能案は白紙に戻ってしまった。
この一連の与野党の問答に《マイボトルの持ち込みを反対する意味がわからない》《こんなことで何カ月も揉めるなんてバカらしくて仕方ない》などとネットの住民は呆れかえった。
地方議会ではこんな事例もあった。千葉県の成田市議会は昨年、突如議会の委員会室に持ち込める飲料をペットボトルのみとし、マイボトルの持ち込みを禁止した。驚くことにその理由が「見栄えがよくないと市民から苦情があった」というものだった。見栄えのためにマイボトルの持ち込みを禁止とする判断。これに対してもネット上では《そこまで見栄えにこだわる必要があるのか》と批判があがっていた。
環境への配慮ばかりが取り沙汰されるマイボトルの国会への持ち込み解禁だが、メリットはそれ以外の面にもある。
潰瘍性大腸炎という難病を抱える安倍晋三首相は「国会で用意してある水は、半分くらいが氷で、冷たすぎて、朝から晩まで審議が続く予算委員会の審議には向きません」と事前の許可を得て国会にマイボトルに入れた「さゆ」を持参している。マイボトルの持ち込みが解禁されることで、それぞれの健康状態や体調に合わせた飲み物を持参することが容易になるのだ。
各議員が審議に集中するためにも、マイボトル解禁のメリットは大きい。地球規模で環境問題が深刻になっている今、小さな見栄えなどにこだわって解禁を渋っている場合ではない。
(浜野ふみ)