コトここに及んで、安倍晋三総理が希望のゴールに設定した来年7月の東京五輪まで吹っ飛びかねないコロナウイルスとの長期バトル。振り返れば、安倍総理が得意とする外交パフォーマンスの晴れ舞台である今年4月の中国・習近平主席来訪への忖度が招いた「人災」と言える。医療ジャーナリストの松井宏夫氏がいう。
「そもそも中国・武漢で感染爆発が起こっている状態で、4月に習近平主席を日本に迎えることなどできるわけがありません。中国からの渡航をいち早く止めていれば、北海道などに中国人観光客を入れることはなく、国内の感染はここまで広がらなかった可能性が高いのです」
しかも現在、感染を広げている新型コロナは中国発の第1波ではなく、欧州由来で、より凶暴性の高い変異型の第2波が猛威を振るってきた。この第2波への対策の遅れが、今後の経済への致命傷にもつながりかねないという危惧も指摘されている。
「専門家委員会は、武漢由来のコロナ第1波は抑え込んだ。現在、国内で感染を広げているのは欧米由来の第2波だと説明している。つまり、2〜3月の時点で海外渡航者を完全にシャットアウト、帰国者を隔離措置にしていたら台湾などのように感染は広がらなかったということです。とはいえ初動どころか、3月末に習近平の来日が見送られ、東京五輪の延期が決まったあとでも、政府の対応は見てのとおりで、全て後手後手というありさまです。長期政権に油断した安倍政権では、こうした国家危機の際の舵取りには不適切なのでしょう。もはや、緊急事態なのは安倍総理自身だとしか思えません」(政治評論家・佐藤治彦氏)
国家の緊急事態よりもイベント日程優先。もはや昭恵夫人同様、単に目立つことが好きなお気楽政治家なのかもしれない。では現場の記者は安倍総理をどう見ているのか。
「最近の安倍総理は官邸で来客を招いて食事することも、ゴールデンウイークのゴルフに出かけることもできず、ストレスがたまっている。会合があって官邸に来る時も必ず午後出勤です。星野源の動画とコラボしたように、自宅では犬をなでているのでしょうが、体調がかなり悪化している。そばで見る安倍総理の顔色は土気色です。第1次安倍政権のように、いきなり放り出すんじゃないかとまで心配されている」
コロナ禍において、威勢よく感じるのは、独自の大阪モデルを発表した吉村洋文大阪府知事(44)や、政府に先駆けて非常事態宣言を出した鈴木直道北海道知事(39)など、若い政治家ばかり。政治評論家の本澤二郎氏も苦言を呈する。
「すでに自民党内で安倍おろしが始まっている。安倍政権は風前の灯です。新聞・テレビは報道しませんが、世界経済の大動脈の原油が二束三文に落ち込み、アメリカ経済はのたうち回っている。もちろん日本も対岸の火事とはいきません。円をじゃぶじゃぶ刷って株価を支えている日本銀行が音を上げたら、敗戦後のようなハイパーインフレが到来します。そうなれば物価は40〜50倍に跳ね上がり、財布中の金を全部吐き出しても物が買えないという事態が起きます。そうなれば、政府からの援助も受けられない、見捨てられた下級国民たちは、安倍私邸に直接デモに乗り込むことになるでしょう」
出口戦略を含めた今後のコロナ戦略しだいでは、戦後最長在任日数ながら、晩節を汚した総理として、黒歴史に名を刻むことになるだろう。