牛丼の吉野家が1杯なんと1700キロカロリー超え、という「スタミナ超特盛丼」(798円税別/写真)の販売をスタートさせたのは、4月30日のこと。吉野家は昨年3月に発売した牛丼超特盛(1169カロリー)が大ヒットしたが、そんな追い風に乗って販売された今回の「スタミナ〜」は、牛カルビ・豚肉・鶏肉と3種類の肉を使用。ニンニクが効いた醤油ベースの特製タレが食欲をそそる、と人気も上々。さらに、5月13日には、かっぱ寿司が総量約3.5キロという「メガ海鮮イクラちらし寿司」(税別1万円)の販売を予約限定でスタートした。
とはいえ、コロナ禍が続くタイミングで、この相次ぐ「デカ盛り」発売にSNS上では、《コロナ禍でホームパーティーも開けないのにこのボリュームは…》《巣ごもりでみんな「コロナ太り」を警戒しているのになぜ?》といった声も。だが、一方、テレワークを続けている独身サラリーマン諸氏には、「吉野家のスタミナ超特盛丼は昼に半分、夜に半分と小分けにして食べていますし、メガ海鮮イクラちらしは購入した友人にシェアしてもらい、リモート宴会を楽しんでいます。そうすることで外出する機会も減らせますので助かっています」などと、ことのほか評判がいい。
かつて、空前の「デカ盛り」「メガ盛り」ブームが起こったのは2007年のことだった。
「2005年にテレビ東京の『TVチャンピオン』で『デカ盛り王選手権』が放映され、”デカ盛り”という言葉が市民権を得た。その後、マクドナルドから4枚のパテを挟んだ『メガマック』が登場して話題になると、牛丼チェーン店も相次いで、『メガ牛丼』『メガ盛り』を販売。それがカップラーメンやアイスなどへも飛び火し、一大ブームが起きました。でも、番組がマンネリ化したことで視聴者が離れ、いつしかブーム自体も終焉を迎えたというわけです」(フードライター)
ところが最近、「インスタ映え」の流行語を生んだインスタグラムとユーチューブの台頭によって大盛り・デカ盛りブームが飲食業界などで再燃してきたという。
「ソーシャルメディアのなかで目をひくのが、親しみやすいテーマとインパクトのあるビジュアル。そういう意味では普遍的なテーマである“食”を柱にした『デカ盛り』の写真や、大食いの映像は最高のコンテンツだと言っていいでしょう。近年、世界的に見ても『大食い』が人気ジャンルとして定着し、大食いユーチューバーがテイクアウトして、大食いにチャレンジするのはおなじみの画ヅラです。これが商品のPRにつながるとあって、企業側からすれば広告費もかからない。両者にとってwin-winの関係と言えるかもしれません」(ITライター)
しかも、ストレスと食欲は切っても切り離せない関係にあるため、コロナ禍のイライラで「たまにはガッツリ食べたい!」という思いが募るのは、ある意味人間の本能といえるのかもしれない。
なるほど、デカ盛りブーム再燃の裏には、自粛生活の長期化があった!?
(灯倫太郎)