「新型コロナウイルスをやっつける消毒剤もあるだろう。コロナは消毒液で死ぬんだから、注射したらいいんじゃないか? それこそ洗浄じゃないか」
4月23日の記者会見でこんなトンデモ発言をしたのはアメリカのトランプ大統領だ。実際、この失言以降、アメリカでは消毒液に関する相談がメーカーに殺到。トランプが再選を目指す11月の大統領選にも暗雲が立ち込めているという。
一方の外交面では、新型コロナウイルスの「発生源」を巡り、アメリカと激しい火花を散らしているのが中国だ。一部で「人為的拡散」疑惑すらささやかれる中国の習近平政権は、なんと「コロナ外交」で各国首脳に恩を売り、「世界の救世主」に躍り出ようと画策しているのだ。
4月10日までに、世界127カ国に医療用マスクやウイルスの検査キット、防護服などを送っている。その中には欠陥品も含まれ、イギリス政府が中国から購入した検査キットは信頼性が得られないとして代金の返金を求める方針を固めると、オランダ政府も中国から購入した60万枚のマスクが欠陥品だとして回収に追われた。一方で、中国の支援で大助かりな国もある。4月6日に発売された「アジア燃ゆ」(エムディエヌコーポレーション)の著者でジャーナリストの近藤大介氏が明かす。
「『マスク外交』は悪いニュースばかり取りざたされていますが、スペインには4月の初めから週3便、マドリードと上海を往復して、毎回10トンずつ医療物資が運び込まれ、スペインの生命線になっています」
疑惑の目をそらすかのように世界に支援の輪を広げている中国が、「次なる一手に」ともくろむのは「ワクチン外交」だ。
世界各国が急ピッチで開発を進める中、中国政府は4月中旬に、安全性などを確認する臨床試験の第一段階を終え、世界で初めて有効性などを確かめる第二段階に進んだことを明らかにした。
「中国のワクチン開発は、人民解放軍の陳薇少将が率いる研究チームが中心となって行われています。陳薇少将は中国で有名な女性軍人で、ワクチン開発のスペシャリスト。1月26日に武漢ウイルス研究所に入り、4日後には施設内に設置した移動式実験室でワクチンの研究開発をしている。第2期の臨床試験では、治験ボランティア約500人がワクチンを接種し、経過を観察しています」(中国在住のライター)
アメリカも当然、ワクチン開発を進めているが、中国に先手を取られた形になってしまった。
そればかりか、治療薬に関しても、日本の抗インフルエンザ薬「アビガン」に期待が集まる中、すでに中国は新型コロナの特効薬を極秘開発していたという情報まで浮上したのだ。
「中国の医学界でまことしやかにささやかれているのは、広東省傘下の漢方医薬機関が『肺炎1号』という特効薬を開発し、臨床実験では94.21%の有効性を示したというのです。ところが、この漢方薬は量が限られているため、一般に公開はせず、各国の幹部専用として使用される。要は、海外VIPを助けて貸しを作ろうとしているのです」(前出・近藤氏)
ワクチンも特効薬も中国が先に開発に成功したとなれば、「世界の盟主」アメリカのメンツは丸つぶれ。人為的にウイルスを作ったという拡散疑惑も晴れぬまま、習近平政権が思惑どおりに「世界の救世主」として称賛されてしまうのだろうか。
「サイバー犯罪の温床になっている闇サイト『ダークウェブ』では新型コロナのワクチンができたという情報が出回り、もちろん詐欺なのですが、わらにもすがる思いで購入した何人もの被害者が出ています。ニセモノであってもそれだけ反響が大きい代物だけに、アメリカでも中国でも、先に本物のワクチンを開発した国が世界の主導権を握ることになるでしょう」(国際ジャーナリスト・山田敏弘氏)
世界中で新型コロナに感染し、今日も命を落とす人がいるというのに、大国同士が手をつないで協力し合う姿勢は見られそうにもない‥‥。