新型コロナ「パンデミック」戒厳令(3)病院の待合室が危ない

 前出の感染症専門医はさらに、今回の新型コロナウイルスが特にやっかいな点を強調する。

「ウイルスが宿主(感染者)を死なせてしまうと、ウイルス自体も死滅してしまうので通常、ヒトからヒトに感染するにつれ『変異』して毒性が弱まるものなのです。新型インフルエンザが好例で、感染が拡大すればするほど毒性は弱まり、死亡率も低くなります。新型コロナウイルスも毒性が弱まるまで時間稼ぎをしているところです。ですがこのウイルスは、若い人や体力のある人には症状が出ず、抵抗力のない人や体力のない人が感染すると凶暴化する。このため、感染者が増えれば毒性は弱まるというウイルスの一般論が当てはまらないのです。被害を最小限に食い止めるには、やはり感染者数そのものを減らしていくしかないでしょう」

 実際に09年に猛威を振るい、病院に患者が殺到するパニックを起こした新型インフルエンザと今年流行しウイルスは同じものだが、その危険性についてはほとんど報じられなくなっている。

「当時『新型インフルエンザ』として恐れられたウイルスは、10年を経て、死亡率はその国の医療水準にもよりますが、2~9%程度と普通のインフルエンザと変わらなくなっています」(科学部記者)

 はたして、新型コロナウイルスについても「終息までに10年かかる」との専門家の意見も上がっているが、今のところ、ハッキリとした予測はつかないという。都内の開業医はこうため息をつく。

「開業医の間では、今季のインフルエンザの簡易検査をするのをやめました。政府は新型肺炎の蔓延を一向に認めませんが、1週間続く微熱と倦怠感を訴えて医療機関を受診する患者をいくら検査したところで、インフルエンザ陽性患者はいない。それどころか、簡易検査結果が出るまでの15分間、新型肺炎が疑われる患者が待合室にいるために院内感染リスクが広がります。PCR検査をしようがしまいが、微熱が出ている患者は新型肺炎感染者と想定して診察にあたっています」

 隠れた感染者の実数が多ければ多いほど、流行のピークは前倒しになり、被害は甚大になる。慌ててトイレットペーパーやティッシュペーパーを買い占める必要はないが、パンデミックに備えて生活用品や非常食を準備しておく必要があるかもしれない。

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