スポーツジム、ライブハウス、屋形船など、クラスター発生スポットに加え、経路不明の市中感染が全国で続出中。もはや抗菌、殺菌に努める人でも、日に日に感染リスクは高まっている。「まさか、俺がコロナに!?」の緊急事態を完全シミュレーションする。
新型肺炎の症状を、医学博士の中原英臣氏が解説する。
「37.5度以上の高熱に加え、せき、だるさ、胸の痛みなど風邪の初期と同じ症状になります。37.5度以上というのはあくまで目安で、平熱が35度台などと低い人は、37度でも該当すると考えるべきです。肺炎の症状が進むと息が苦しく、全身の倦怠感が出てきます」
通常の風邪の症状と判別しにくいことが医療現場を戸惑わせている。ちぐさ病院の内科医・近藤千種氏が困惑気味に語る。
「新型コロナの特徴の一つはこれらの症状が1週間以上と長引くことです。実際、発熱して会社から自宅待機を命じられた会社員の方がその後、熱が下がって出社しようとしたところ『コロナではないという診断書をもらって来い』と命じられ、受診される方が多いんです」
コロナ感染を診断するPCR検査は3月6日より保険適用されることになったが、それでも実際の検査はいまだに保健所など都道府県で指定された医療施設のみで行われているのが現状なのだ。
「コロナの症状が疑われる方は、まず朝晩2回の検温をし、むやみに外出しないことが求められます。自宅では、風邪と同じで十分な水分、睡眠、栄養を摂ることが大事です。また、家族に伝染しては大変ですから、部屋の換気は2~3時間に1回、トイレなどのドアノブはアルコールまたは次亜塩素酸水などで消毒することが望ましい。特に留意したいのが手洗いです。人間は気がつかないうちに顔を触っていることが多く、菌が手から伝染します。ですから石鹸を使い、流水で20秒以上、手洗いすることが有効です」(近藤医師)
とはいえ、コロナ感染しても無症状、または風邪の症状のまま軽快するケースが大半だという。
「ただし、こうした症状が4日以上続くようならば帰国者・接触者相談センターへ連絡することをお勧めします。重症になる方は倦怠感と息苦しさが出て、体のむくみ、下痢などの症状が出てくることもあります。特に、高齢者、基礎疾患がある人は要注意ですので、すぐに相談していただいても大丈夫です」(近藤医師)
一方、中原氏は、コロナだけが病気ではないと訴える。
「今は世の中がコロナウイルスで大騒ぎしていますが、なにも高熱が出る病気はコロナだけではありません。B型肝炎、結核などたくさんあります。むしろコロナウイルスにかかる人は数%でしかない。仮にインフルエンザにかかり、厚労省の指導どおり自宅で4日も放置しておいたらタミフルの効果がなくなってしまいます。熱が出た時は通常の風邪と同じように、すぐに診察を受けるべきです」
医療の基本は早期発見、早期治療だと主張する。そのうえで中原氏は、コロナウイルスを必要以上に恐れることを警告する。
「日本にとって不幸だったのは、この病気が東京五輪の直前に広まったこと。確かにコロナウイルスで死亡事例は出ているが、インフルエンザよりも少し怖いぐらいです。インフルエンザで脳炎や肺炎を引き起こし、死亡する高齢者はたくさんいます。コロナは感染しても8割は軽い症状で済む。もしくは症状がない人もいるくらい。現に感染者の大半が退院しつつありますし、全然怖い病気ではない。ただし心疾患、糖尿病など基礎疾患を持っている人は重症になりやすいので、特に気をつけるべきです」
正しく怖がる─、それがコロナの最大の処方箋なのだ。