中央競馬の「無観客開催」に“ギャンブル好き”が頭を抱える本当のワケ

 新型コロナウイルスの感染拡大がついに、公営ギャンブルにも影響を及ぼした。中央競馬を主催するJRAでは2月27日、中山、阪神、中京の各競馬場で今週末に開催されるレースから当面の間、無観客で競争を実施すると発表。全国各地のWINSやJ-PLACEといった場外馬券発売所での発売と払戻も取りやめ、電話投票かインターネット投票のみが可能となっている。

 この動きは他の公営競技にも広がっており、大井や名古屋といった地方競馬ではすでに27日から無観客競争を実施。競輪とオートレースも同じく27日から、そしてボートレースでは28日から同様の措置となっている。

「この措置に混乱しているのは馬券や車券、舟券を購入するファンのほう。WINSなどの窓口が使えなくなる一方で、電話投票では通話が殺到する恐れがありますし、インターネット投票では『即PAT』や『オッズパーク』に登録する手間がかかります。しかも登録の際には銀行口座やクレジットカードが必要となり、何からの事情で口座を持っていなかったり口座が開設できない人は、もはや公営ギャンブルをあきらめることになりそうです」(週刊誌記者)
 
 ただ、いまや手元のスマホで簡単に馬券が買える時代だ。インターネット投票なら払い戻しに行く手間もなく、自宅で競馬中継を観ながら投票できるので、無観客試合でもまったく問題ないとの声は少なくない。出走前にパドックで馬の状態を見極めたいという一部のマニアを除けば影響は少なそうだが、なかには頭を抱えるファンも出てくるというのだ。

「投票券売り場での払戻はすべて現金。数百万円や数千万円だろうと匿名で受け取れるので、本来なら一時所得として税金が発生するケースでも知らぬ存ぜぬを決め込むことができました。それが『即PAT』や『オッズパーク』では払戻金が銀行振込となり、入金の履歴がすべて残ってしまうことから、今までのような“脱税”はほぼ不可能になるのです」(前出・週刊誌記者)
 
 とはいえ税金が発生するような高額払戻など、そうそうあることでもなさそうに思える。しかし前出の週刊誌記者によると、払戻金への課税は、もはや誰にでも起こりえることになるというのだ。

「問題は、経費にできるのは基本的に当たり馬券だけで、外れ馬券は経費算入が不可だということ。三連単を5頭ボックスで各1万円ずつ購入し、万馬券が当たったケースだと、見かけの儲けは100万円から購入額の60万円を差し引いた40万円。しかし税制上は1万円のみが経費となるため儲けは99万円となり、課税控除額の50万円を超えてしまうのです。そんな高額な払戻ではなくても、ちょっとしたギャンブル好きなら年間の当選総額が50万円を超えるなどよくある話。それゆえインターネット投票が強いられる状況になれば、税金支払いに迫られるファンが激増する可能性も高いと言えるんです」

 果たして、ギャンブル好きのところに国税庁はやってくるのだろうか。

(北野大知)

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