ミカエル・ミシェル「26億円争奪」狂騒曲(2)通年免許取得の“メド”

 ミシェルには、それほど年の違わない日本人の女性通訳も付いているのだが、その通訳いわく、

「騎乗馬や乗り方などについては、全てエージェント(元騎手)のフレデリック・スパニュ氏(46)が決めています。私は主催者やマスコミ関係者とミシェルの間を取り持ち、物事をスムーズに運べるようにする役割。彼女は気さくな性格で誰ともすぐに打ち解けますが、騎乗するとたちまち厳しい表情に変わる。レースでは最後までグイグイ追いまくるので、とてもたくましくて魅力的ですね」

 競馬関係者の評価も非常に高く、南関東の名ジョッキーだった桑島孝春氏(現・地方競馬全国協会参与)は、テレビの競馬中継の中でこう絶賛していた。

「前からも後ろからも競馬ができるだけでなく、インを突いてくることもできる。コーナーのきつい川崎で初めての騎乗とは思えないほど、しっかりしているね」

 2月5日には大井の重賞・金盃で4番人気センチュリオン(牡8、浦和・小久保厩舎)に騎乗。スタートしてから3番手を進むも最後の直線で失速し11着に沈んだが、アグレッシブな騎乗でファンを沸かせた。

 ミシェルの最終目標はもちろん、JRAの通年騎乗免許を取得することにある。今回、南関東で乗ることを決めたのもその布石だが、JRAでは短期免許の取得もそう簡単ではない。

「4年前から取得のための条件(内規)が厳しくなっていて、本国で一流クラスでなければ、なかなか難しい現状があります。ミシェルは2年前の最多勝記録更新時にもリーディング12位。5位以内になれば十分でしょうが‥‥。実は今回もJRAの短期免許取得を目指したのですが、他にも申請している外国人騎手が多数おり、いわば『順番待ち』の状態でした。それでは待ちきれないという気持ちもあり、南関東で乗ることにした事情があります」(競馬ライター)

 彼女は昨秋、ジャパンカップを視察するために来日。その際、

「2年ぐらいあれば(JRA通年騎手免許受験の)準備は整うのではないでしょうか」

 と見通しを語っており、来年にはトライするつもりなのだろう。「ルメール日本情報+ルメール家庭教師から日本語習得」も、そのためのもの。ルメールとの「合体」で野望を実現させるべく、着々と歩を進めているのだ。

 今後は海外で騎乗することも決まっている。2月28日にサウジアラビアの騎手招待レースに、その翌週の3月8日には、スペインの騎手招待レースに出場する。両レースには藤田菜七子(22)も出場するが、

「昨夏のワールドオールスタージョッキーズで藤田と対戦しています。ミシェルは再会を楽しみにしている一方で、今から『菜七子には勝ちたい』と言っている」(競馬ライター)

 ミシェル・フィーバーにあやかる欲望と、日本本格参戦の野望。美しすぎる狂騒曲の行方ははたして─。

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