「C・ロナウド欠場問題」で主催者敗訴が韓国サッカー界に及ぼす影響

 昨年夏、イタリアのユヴェントスに所属するポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが、韓国で開催されたKリーグ・オールスターズとの親善試合に出場しなかった騒動に関し、韓国の裁判所が2月4日、試合を主催したファスタ社へ賠償金支払いを命じている。

 ファスタ社は、世界中で高い人気を誇るロナウドの存在を大々的にプロモーションしたとされ、スーパースターのプレーを目当てにチケットを購入したファンが大半となったものの、試合当日、ロナウドは最後までピッチに立つことなくゲームはロナウド不在のまま終了。これに激怒したのが高いチケット代を支払っていた韓国サポーターであり、裁判所は、ファスタ社が彼らに精神的な苦痛を与えたとして、ファン一人当たりにつき約3万4000円の賠償金支払いを命じた。

 この騒動を発端に、韓国におけるロナウドの人気は急落。ユヴェントス側の説明によれば、ロナウドが不出場となったのは筋肉疲労によるコンディション調整が理由とのことだが、それでもなお、同国サポーターはロナウドや主催社側への怒りを鎮めることはなく、選手本人の公式SNSアカウントに中傷コメントを残す者まで現れる事態となっている。

「ファスタ社がロナウドの出場を100%担保するかのような誇大広告を打っていたのであれば、そもそもそうした類のプロモーションは、選手の体調やコンディションを第一に優先すべきスポーツの世界ではあまりにも不向きなやり方といえます。サッカー界では、過去にもスポンサーから試合出場を半ば強制されてしまうようなケースが問題視されたことがありますが、身体を資本とするアスリートにとって、主催者による身勝手な契約は死活問題にもなり得ます。もちろん今回のように、ロナウドを目当てにチケットを購入した韓国サポーターの落胆は理解できますが、お目当てのスター選手が出場しないたびに裁判沙汰を起こしていては、今後ヨーロッパのトップチームも韓国でのイベントや親善試合の開催を敬遠してしまう可能性もでてくるのではないでしょうか」(スポーツライター)

 スーパースターによるプレーが見たくて起こした訴訟ではあるが、こうしたトラブルの存在が、スター選手の訪韓を遠ざけてしまうリスクを高めるとすれば皮肉な話だ。

(木村慎吾)

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