中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受けて、中国政府は1月27日から海外への団体旅行と一部個人旅行を禁止に。春節のインバウンド需要が期待された日本にとっても大きな打撃となりそうだ。
「日本政府は東京五輪開催を受け、今年の訪日外国人旅行者数の4000万人達成を目標に掲げていましたが、中国の海外旅行禁止によってすでに暗雲が漂ってきました。また、春節は中国人旅行者が最も多く日本を訪れる時期でもあり、日本経済への影響はかなり大きいものとなるでしょう」(経済ジャーナリスト)
19年に日本へやって来た中国人旅行者は約1000万人と訪日外国人中トップで、消費額も約1兆8000万円とダントツだっただけに、損失は計り知れない。特に、中国人旅行者の約4割が訪れるという大阪への影響はかなりのものだろう。
大阪のとあるビジネスホテルの関係者によれば、「27日から中国の団体客の予約はすべてキャンセルになっている」そうで、「理由が理由だけにキャンセル料を取ることもできず、非常に厳しい状況にある」と語る。
「また、大阪の大丸松坂屋百貨店や高島屋大阪店などでは、3〜4割の売上を占める訪日外国人のうち約9割が中国人だといい、27日以降は中国人旅行者が激減すると見られており、大幅に売上が減少することは間違いありません」(前出・経済ジャーナリスト)
新型コロナウイルスの感染は拡大を続けており、中国での海外旅行禁止令はしばらく続く見込み。今後、大阪経済以外にも予想外のところで影響が出るかもしれない。
(小林洋三)