中国でペット市場が3兆円を突破して急拡大、今後も市場規模が拡大する見込みだ。
「2019中国ペット業界白書」によれば、2019年の中国都市部のペット市場規模は前年比18.5%増の2024億元(約3兆360億円)で、1匹当たりにかける金額は10.9%増の5561元(8万3000円)になったという。大幅に増加している理由は、「90後」と呼ばれる1990年代生まれの世代がブームの中心を支え、高学歴・富裕層の間での消費が増えているからだという。
背景としては、生活水準が飛躍的に向上する一方で、ストレス社会も進行。1人っ子政策や核家族化の影響で、癒しを求めていることが窺える。ペットに心の支えを求める傾向は万国同じなのだろう、日本のペットブームととてもよく似ている。
飼育数は2018年で犬がおおよそ5000万匹、猫が4000万匹で、近い将来は1億匹にも達する勢いだが、犬の頭数の方が多い。ただ消費の伸びでは犬が17.8%増、猫が19.6%増で「ネコ派」がより伸びている。日本では2017年に猫の飼育頭数が初めて犬を逆転して上回ったが、この辺りの事情も同じだ。
「子どもの人数にも制限をかけた国ですからペットに対しても当然。昨年は北京の地元警察が『35センチ以上の犬は禁止。3日以内に自分で処置しろ』といった通知が出されたことで話題にもなりましたが、それでも1994年以後は北京での犬の所有の厳しい制限も徐々に緩和されています。でもそんな影響からか、中国ではペットを飼うことは『ブルジョアの娯楽』との価値観があります」(中国事情に詳しいジャーナリスト)
北京にはペット専用の高級ホテルや写真サービス付きの高級美容室があるという。インスタグラムは中国では使えないので、国産アプリのTikTok映えにでも使うのだろう。日本でもペットにお金をかける人は多いが、爆買いの国だけに、
「月に10万円以上をかけて高級ペットフードやサプリを購入する人もいます。葬式に11万円以上かける人がいたり、収入の範囲内でもっとお金をかけたいと考える人は多いようです」(同前)
ちなみに人気なのはチワワやトイプードルの小型犬やマンチカンなど。この辺りも日本と同様だ。一方で、体高70センチ、体重80キロにもなる超大型犬種のチベット産のチベタン・マスティフが数千万円単位で取引されている辺りはいかにも中国らしい。
(猫間滋)