王貞治会長の「16球団構想」でなぜか注目された前澤友作氏の「月旅行」

 福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長が16球団へのエクスパンション(拡大)構想を打ち明けたのは、1月11日だった。「世界の王さん」の発言でもあるため、その内容は海外メディアにも取り上げられた。NPB内部からも「王さんの発言だからこそ、意義がある」と”前向き”に捉えられていたが、その後、具体的な動きは見られない。

「TNCテレビ西日本の報道番組『CUBE』で、王会長の16球団構想が飛び出しました。同局内の他番組でも取り上げられ、CUBEのディレクターが『まさか、こんなに具体的な提案が出るとは』と、驚いていたことも伝えていました」(地元メディア)

 番組が出演交渉に当たって、王会長に寄せた質問は3つ。「19年の日本シリーズを振り返って」「福岡への思い」、そして「これからの球界について」だった。その3番目の質問が番組本番で出るなり、王会長の口調が熱くなったわけだが、一連の経緯を聞き、古巣・巨人の関係者からは「やっぱり」の声も聞かれたという。

「年末の巨人OB会でも王監督の口から球界の未来、ホークスの今後が語られました。『もう一度、巨人に勝って』『V9を抜いて』とも話していました。昨年の日本シリーズで巨人に4連勝したことで、16球団構想を公表する機は熟したとのことでしょう」(球界関係者)

 だが、NPBは王会長の発言を前向きに捉えてはいるものの、具体的には何も動いていない。それは見方を変えれば、16球団構想は誰かに言わされたものではなく、本当に王会長が考えていたビジョンだと解釈できる。こんな情報も聞かれた。

「かつて外資系企業が『日本支社を作ってもダメなのか?』と、球界参入を模索したことがあるんです。ソフトバンクの元スタッフがNPBとの調整に努めましたが、やはりかないませんでした」(球界関係者)

 元球団スタッフが相談を受けたのなら、王会長の耳にもこの動きは届いていたはずだ。

 野球協約では球界参入の可能な企業は、日本の法律に基づいて設立された資本金1億円以上の株式会社、外国人の持ち株比率が49%を超えないこと、とある。日本のプロ野球に魅力を感じている国内外の企業は少なくない。これまでは門戸を狭くすることで球界を守ってきたが、これからは広げることも検討しなければならないようだ。

「昨年11月27日のオーナー会議でも野球人口の減少問題が話し合われています。王会長の今回の発言は次のオーナー会議でも取り上げられるはず」(同前)

 新球団といえばZOZO創業者の前澤友作氏もプロ野球参入に熱意を示していた。「前澤さんが月旅行から帰ってくる2023年まで待とう」という、ジョークも球界に広まっていた。協約の見直しを図るためには、「あと3年」が案外ちょうど良い猶予期間になるかもしれない。 

(スポーツライター・飯山満)

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