パクったもん勝ち?「無印良品」商標訴訟“敗訴”で当の中国でも批判が

 生活雑貨を販売する「無印良品」の運営元「良品計画」に対して、無印良品そっくりの店舗を持つ中国企業「北京棉田紡績品有限公司」が商標権を巡って起こしていた裁判で二審の北京市高級人民法院は原告側の訴えを認め、良品計画に63万元(約970万円)の支払いなどを命じた。
 
「中国では、北京棉田紡績品有限公司が綿製品で“無印良品”の商標権を保有しています。そのため、良品計画は中国進出に際して対象商品を”MUJI”の商標で販売してきましたが、14〜15年に対象の一部商品を誤って“無印良品”のまま販売してしまったという。これに北京棉田紡績品有限公司は商標権を侵害されたとして提訴し、17年の一審では原告側の訴えが認められ良品計画は控訴していましたが、結局は二審も同様の判決が下されることになりました」(社会部記者)

 なお、中国の裁判は二審制となっているため、これで良品計画の敗訴が決定。同社はすでに賠償金を支払ったという。
 
 本家が裁判に破れたことにネット上では、《パクっといて訴えるなんて中国らしいが、それを認める裁判所もヒドい》《日本企業は中国から撤退するのが一番》《良品計画は、いまだに低レベルな中国でのこの裁判をしっかりと世界にアピールすべき》など、怒りの声が相次いでいる。
 
「中国企業が日本企業の商標権を中国国内で登録し、日本企業が訴えられるケースはよくあるパターンです。ただ、無印良品の商標権は良品計画より先に北京棉田紡績品有限公司が登録してしまっていましたから、今回の判決はやむなしというところでしょう。しかし、MUJIは中国でも絶大な人気を誇っており、MUJI=本家無印良品という認知が広がっているのが実情。中国国内でも北京棉田紡績品有限公司に対して《この裁判結果はまともじゃない》《北京棉田は無印良品という登録商標を返すべきだ》との批判もあるので、決して今回の判決が北京棉田紡績品有限公司にすべて有利に働くわけでもないと思います」(経済ジャーナリスト)

 良品計画は北京棉田紡績品有限公司と複数の裁判を抱えており、「商標を取り戻すべく、今後も全力を尽くしていく」とコメント。中国国内での風向きが変わることを祈るばかりだ。

(小林洋三)

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