平成が31年で幕を閉じ、いよいよ5月1日の改元に向けて秒読み段階に入った。
社会が大きく変わるのと同時に動くのが株価だ。さて、その大きな変化まで秒読み段階に入った今、注目すべき業界・銘柄はどこか。金融情報サービスの「財産ネット」の企業調査部長で、株価予想の世界では「相場の福の神」としておなじみの藤本誠之氏に聞いた。
「まずは、昨年12月に特例法が成立したことで、4月27日の土曜日から4月30日の天皇陛下譲位と5月1日の皇太子さまの即位・改元を挟んだ5月6日の月曜日の振り替え休日まで10連休になります。未だかつてなかった10連休ということで、この時のレジャー、つまり、旅行関連銘柄が現時点で注目されます」
単純に思いつくところで、HIS(9603)、近畿日本ツーリストのKNT−CTホールディングス(9726)といった旅行会社。あまり一般的に知られていないところでは、クルーズ専門の旅行会社のベストワンドットコム(6577)などが長旅需要が高まることもあって注目だという。
「次はなんといっても帳票関連でしょうね」
帳票とは、ITシステムから紙媒体に出力するIT用語。要は、帳簿や伝票などに記載される元号か変わるので、これに関わる業界・会社の株価は当然ながら大きく動くという。
「具体的な銘柄で言えば、請求書などのデータプリントサービスを行うカワセコンピュータサプライ(7851)、印鑑のインターネット通販最大手のAmidAホールディングス(7671)などです」
それから、10連休で逆に繁忙期になるからこそ注目されるのがシステム関連だ。
「世の中がお休みになるので、システムを入れ替えるのに好都合だからです。当然、そういった需要を受ける会社の株価は動くはずです」
もともと改元に対応したシステム変更関連銘柄は昭和から平成に変わった時も注目が集まったが、それは今回も変わらないという。
天皇陛下が退位を表明された2016年8月以後、“材料”を好む株式市場では早々に改元関連がとかく囃された。もちろん実際のマーケットも関連銘柄を求めて大きく動いた。では今後、マーケット全体としてはどう推移するのだろうか。
「改元の手前で下がって、連休が終わってからまた上向くでしょう。改元前の株価が高い段階で投資家は保有株を売って利益確定して連休に入る。連休中は日本のマーケットは閉まりますが、ニューヨーク市場などは動いているわけですからね。日本に流れていたお金はそちらに流れるでしょう。そして連休が明けたら、相対的に下がってお買い得になった銘柄にまた買いが入る、という流れです」
となれば、高値になっている関連銘柄を今から仕込んでも遅いという見方もあるかもしれないが、「風が吹けば桶屋が儲かる」というのが株式市場の常でもある。また予測は出来ても、実際に改元が行われてみないとどう動くかは分からない。
「その他、連想を働かせれば流通関連。平成最後のセールがいろいろなところで起こるでしょうから盛り上がりやすい。同じ連想で、イベント関連銘柄も外せません。あと面白いのは結婚や子供関連銘柄ですね。新しい元号になってから結婚したい、あるいは、どうせ子供を産むのなら新しい元号生まれの子供にしたいと考えて結婚・出産イベントを手控えている人がたくさんいるはずです。一方で10月には消費税10%の増税が待っているので、その間の5カ月間で大きく動く銘柄といえるでしょう」
藤本氏の意見を参考にしながら、様々な想像を働かせて投資してみるのもいいだろう。
(猫間滋)