都心の高層マンションの近くで「謎のキーボックス」を見たことはないだろうか。
その多くは電柱や公園の手すりなどに引っかけるように設置されており、特に中央区晴海界隈で多数発見されている。このようなキーボックスが、マンションの水道管などに取り付けられている例はあるが、一体どのような意味があるのだろうか。
不動産業者が語る。
「マンションのメーターボックスの水道管などに取り付けられているキーボックスは『現地鍵』といい、不動産業者がお客を案内するときに、毎回オーナーや管理会社に鍵を借りに行くのが面倒なので、現地にキーボックスを設置して鍵を置いておく仕組みです。一方、最近急増している電柱などに設置されているものは、『民泊』用でしょうね。多くの一般住宅契約では転貸を禁じる条項が設けられており、民泊運営することはできません。また民泊は自治体へ簡易宿泊営業の許可申請が必要。マンション付近の電柱などにキーボックスを設置するというのは、違法業者が民泊客へ鍵を渡す手段にもなっているのです」
実際、そのような電柱がある付近では、大きなスーツケースをゴロゴロと転がしている外国人旅行者の姿が目撃されている。事前に業者からキーボックスの解除番号を知らされ、中からマンションの部屋の鍵を取りだして、あたかも住民のように出入りしているようだ。
近年は最初から投資目的でマンションを購入し、民泊用として使用するケースが増えているという。外国人のオーナーも少なくなく、悪質なケースでは管理費や修繕積立金を一切払わずに、違法民泊を堂々と営業しているとか。
東京五輪の選手村の跡地にある「晴海フラッグ」は東京都の肝いりで分譲されたマンションだが、ここでも投資目的で複数物件を購入するケースが相次いでおり、オーナーの中には海外投資家も多い。この周辺でもキーボックスが見つかっているというから、居住者にとっては気分がいいものではないだろう。
(ケン高田)