今年の新NISAのスタート時、放ったらかしも可能な投資信託に人気が集中した。中でも、日本株以外の外国株式の株価指数に連動する「インデックスファンド」がもてはやされた。4月1日時点で227本ある新NISAの「積み立て投資枠」に収まっている海外インデックスファンドなら信託報酬(運用にかかる費用)も0.05~0.09%と安く、コスパも抜群というわけだ。だが、佐藤氏は、国外よりも国内に目を向けるべきという。
「日経平均を押し上げた主役は、いわゆる半導体株やユニクロを展開する『ファーストリテイリング』、『ソフトバンクグループ』など大企業の銘柄です。例えばファーストリテイリングなどは、最低購入金額が400万円以上、そう簡単には手が出ません。そこで、例えば上場している投資信託で、日経平均の225銘柄と連動する『NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信』(国内株式ETF)などは、目下4万円で買えて、オススメです」
投資信託ではなく個別株で攻めたいという人には、
「上昇相場に乗り遅れた『出遅れ株』を安い局面で買う『押し目買い』がいい」(佐藤氏)
藤本氏も同意して個別株の購入を推す。
「中高年の投資を考えた場合、インデックス投資は『どうかな?』と思います。特に高齢の方は、コツコツと増やす投資は合っていない。あるいは、今後収入も減り、年金も頼りにならないとなれば、高配当で株主優待もある銘柄に投資し、配当や優待を収入源とするのがよいでしょう。新NISAを活用すれば、これまでは税金で取られていた利益の20%を、投資額に回すことができます。そのようにして、株価が上がって余裕ができたら、株式投資の基本である、中長期の観点から、成長性も見込める会社を探し、買い増しや投資先の入れ替えをしていく」
個別株への投資にあたっては「高配当+株主優待+成長性」の3つが銘柄を見極めるポイントになるというのだ。ただし、1つのポイントに必要以上にとらわれてもよくない。
国内の全銘柄は約3900あるが、配当利回り3%以上は1000銘柄強。5%以上になると約50銘柄に絞られてしまう。かつて5%の利回りをうたって個人投資家に人気があった「あおぞら銀行」が、2月に決算の大幅な下方修正を公表。約3200円だった株価が一気に1000円ほど下げたことがある。
売上や利益の推移から慎重に「成長性」を判断し、株主優待がある約1450銘柄を加味して複合的に銘柄を選ぶ必要がある。「勝つための投資」には、不断の勉強が欠かせないということだ。そんな初心者投資家に対して、佐藤氏はこうアドバイスする。
「『投資は手銭の範囲内で』が鉄則です。手元に100万円の余裕がある人は、その3分の1の30万円ほどを株式投資に回し、こまめにメンテナンスを行い、イチかバチかの勝負には出ないことです。それを繰り返すことで、投資の腕も上がり、利益を確実に得ることが可能になります」
今後の株価の見通しは明るい模様だ。いつまでもビビッているわけにはいかない─。
*週刊アサヒ芸能5月7日号掲載