紛糾会見で上昇を続けるフジHD株価の今後の分かれ目

 午後4時から翌日の2時半近くまで、中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビの2回目の会見は、10時間半に及ぶ異例のものとなった。

 スポンサー75社が撤退するなど世論では株を大きく下げている一方、同社の持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)は株を上げている。2回目の会見翌日の1月28日午前時点の株価は約2000円。ここ5年スパンでの2000円台は昨年4月以来で、絶好調と言える。

「発端は昨年12月19日発売の『女性セブン』の報道で、次いで25日に『週刊文春』が詳報したという経緯ですが、この時約1800円だった株価は年明け早々には約1600円まで沈みました。ところが1回目の会見が行われた17日を過ぎ、元フジテレビ専務で関西テレビ社長の大多亮氏が会見を行った22日に約1970円に爆上がり。そして2回目の会見前後もこの水準を維持しています」(経済ジャーナリスト)

 もちろん会社の危機で、実際に直近の決算は相当ボロボロとなるのは必然なためすぐさま株を手放す人がいる一方、逆に「ピンチはチャンス」とばかりに仕込み時と考える投資家もおり、後者が勝っているということだろう。そんな揺れ動きを反映してか、1月20~24日の1週間の同社株の売買高は前週の19倍にも及んだ。

「1回目の会見前から、同社の大株主である投資ファンドのダルトン・インベストメンツが求めていたような信頼回復に向かわざるを得ず、いずれにせよガバナンス面や硬直した人事など、あらゆる面での改善が期待されたということ。結果、2回目の会見でフジテレビ港浩一社長と嘉納修治会長が辞任となり、そうした読み通りの展開になっているわけです」(同)

 気になるのは今後だが…。

「会見では同社の“天皇”的存在の日枝久取締役相談役の処遇を問う声が相次ぎましたが、いずれにせよ、そこまで手がつけられる動きがなければ期待は萎む。一方、今回を機会として都市開発・観光による不動産事業で稼いでいる収益構造についても抜本的な見直しは不可避でしょうから、より稼げる企業になったり、資産の見直しで株主還元を行う企業に様変わりするプラス要素もあります」(同)

 いずれにせよ、当然ながら刷新した経営体制を世間にアピールできるかどうかが、今後の株価にも大きな影響を与える。

(猫間滋)

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