奈良公園で「厳重注意アラート」鹿の角で刺される事故多発…一方で戒めるべき「観光客のマナー違反」

 奈良市の奈良公園では10月12日から14日まで、秋の恒例行事「鹿の角きり」が行われた。

 奈良公園の「鹿苑」で行われる「鹿の角きり」は、発情期の雄鹿が傷つけ合ったり人に危害を加えたりしないよう、江戸時代から続く伝統行事で、現在は保護団体「奈良の鹿愛護会」が主催する。ハッピを着た勢子と呼ばれる担当者が鹿を追い込み、神官役がのこぎりで角を切り落としていく。

 ところで、奈良公園の鹿を巡っては、観光客が鹿の角に刺されてケガをする事故が相次いでおり、奈良県などは、10日から「厳重注意」アラートを発信している。

 鹿による観光客のケガは9月43件で、去年の同時期が17件から2倍以上増加している。その要因の一つとされるのが外国人観光客の増加で、外国人はシカが危険という認識が薄く、雄鹿に不用意に近づき被害に遭うケースが多いようだ。

「奈良公園の鹿は人に慣れているとはいえ、野生動物なので不用意に触れないほうがいい。特に秋は雄鹿が発情期に入り、攻撃的になるといいます。一方、外国人観光客の中には鹿を蹴ったり、鹿せんべい以外のエサを与えるなど、マナー違反を犯す人もいるのが気になります」(夕刊紙記者)

 奈良公園では7月、男性が鹿を蹴り上げる映像がYouTubeに投稿され大問題となった。また21年には、鹿が自分の車に頭突きしたことに腹を立てた20代の男性が、その鹿を刃物で切りつけ死なせたとして文化財保護法違反の容疑で逮捕。懲役10月、執行猶予3年が言い渡されている。人懐っこい奈良公園の鹿だが、他の野生動物と同様、接し方には十分に気を付けたい。

(鈴木十朗)

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