「ナメクジ騒動」で大阪王将に謝罪させた「内部告発男」はなぜ逮捕されたのか

 2022年7月に当時宮城県仙台市内にあった大阪王将・仙台中田店の元従業員の男が、「ナメクジ大量にいる」とSNSに投稿した件で、2月13日、仙台南署は威力業務妨害の疑いでこの男を逮捕した。容疑は男が、店が不衛生であるかのような投稿をして業務を妨害したというものだが、男の投稿はネット上では「内部告発のようなもの」とも言われていたことから、逮捕に驚きの声もあがっている。

 男は当時、マスコミの取材にも応じており、厨房内は清掃が徹底されておらず、ナメクジ以外にもゴキブリやコバエなども発生していたと話し、運営会社に改善を訴えても聞き入れられなかったため、SNS上で告発したと語っていた。

「この投稿を受けて大阪王将は、保健所の調査の結果ではナメクジは発見できなかったものの、『湿気の多い季節に外部からの侵入があった』と認めて謝罪し、店舗は閉鎖されました。こうした経緯もあって男の投稿が『内部告発』と言われていたのですが、それが逮捕となったことに首を傾げる人も少なくないようです。運営会社の社長が『計画的に虚偽の行いをした部分が非常に多かった』と語っていることから、投稿に事実とは異なる部分があったのかもしれません」(フリージャーナリスト)

 とはいえ、ネット上には《これが逮捕になるなら従業員が内部告発できなくなる》という声もあがっている。

「内部告発は企業の不正を正す重要な手段です。ただ、内部告発である以上、単なる不満の吐け口だったり誹謗中傷であってはなりません。文書や証言、写真、動画などの証拠を集めて、事実を客観的に示す必要があります。告発者の主観が入ることがあってはいけませんし、告発の方法によっては間違った伝わり方をしてしまう場合もあり得ます。本気で告発を考えるのなら、管轄官庁や保健所、労基署、マスコミなど適切な場所に訴え出るのが良いでしょう」(前出・ジャーナリスト)

 SNSの場合、仮に「告発」であっても客観性に疑問符が付く可能性もある。インパクトこそ計り知れないが、その分、告発者にも大きなリスクが降りかかってくると認識すべきかもしれない。

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