バイデン大統領の支持率低下、24年の「もしトラ」でプーチン大統領の高笑い

 いよいよ、今年も残すところあとわずかになってきたが、2024年は世界の多くの国々で、国の将来を左右する大きな選挙が行われる、いわば選挙イヤーだ。1月の台湾総統選を皮切りに、3月にはロシア大統領選、4~5月はインド総選挙、そして11月には、いよいよ全世界が注目するアメリカ大統領選が予定されている。

「アメリカ大統領選は、来年1月にアイオワ州で指名争いの初戦である党員集会が行われ、3月には、各州の予備選が集中するいわゆる、『スーパーチューズデー』。そして、7月には共和党、8月には民主党の候補が決定し、11月5日に投開票という形で進んでいくことになります。前回同様、今回もバイデンVSトランプの決戦が濃厚ですが、支持率低下に歯止めがかからないバイデン氏に対し、4年を経てもなお、共和党支持者の間で絶大な人気を誇るトランプ氏ですからね。このままの流れで行けば、トランプ氏が大統領に返り咲く可能性も十分考えられることから、今から大いに盛り上がりを見せています」(国際部記者)

 18日に米ニュージャージー州のモンマス大学が発表した世論調査によれば、バイデン氏の支持率は9月の38%から12月は34%にまで低下しており、これは過去最低で現状、トランプ氏に完全にリードを許す形となっているが、その支持率低下の最大要因が今回のガザ情勢を巡る対応にあったという。

「ガザで連日多くの人命が失われる中でも、イスラエル寄りの立場を崩さないバイデン氏に対し、彼を支持していたZ世代の若者層や、リベラル派の人々が一気に離れてしまったんですね。一方、強力な岩盤支持層を持つトランプ氏は、多少のことがあっても、その絶対的支持は揺るがないため、相対的に見た場合、トランプ氏が有利という推測が成り立ってしまうというわけなんです」(同)

 言うまでもなく、アメリカの大統領選挙は一国の代表を決める選挙に留まらず、「世界の将来を左右する」といっても過言ではない戦いだ。そのため、バイデン氏が勝利すれば、これまでの4年間の基本方針をさらに4年間継続することになるだろうが、もしトランプ氏が再選した場合は、すべてがひっくり返る可能性は十分考えられる。

「元々、米国の利益にならないことは軽視するというスタンスをとってきたトランプ氏のこと。ウクライナ支援も、再選したら停止すると明言していることから、スパッと打ち切る可能性もなくはないでしょう。ただウクライナ支援は米国主導で行ってきたものですから、それを一方的に放棄するとなれば、欧州諸国からの反感を招くことは必至。信頼関係が崩れ、なんとか保ってきた東欧諸国とロシアとの間の安全保障上の懸念が強まることは間違いない。そんなこともあり、トランプ氏の返り咲きを誰よりも熱望しているのが、ロシアのプーチン大統領だと言われているんです」(同)

 実際、自国の利益にしか頭がなく、諸外国の問題には基本興味がないという点では、この2人の思考は共通しており、プーチン氏としても、バイデン氏よりははるかに交渉しやすい相手とみている、との話もある。19日に米・アイオワ州で行われた決起集会で「バイデンはアメリカ史上最悪で最も無能で最も腐敗した大統領だ。みんなの投票でこの国を地獄から取り戻そう!」と声高に訴えたトランプ氏。いよいよ「もしトラ」(もしもトランプ氏が大統領になったら)が現実になろうとしている。

(灯倫太郎)

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