ジャーナリストの有本香氏の発言が世界中の「ホンダファン」の間で物議を醸している。
有本氏は12月1日配信のインターネット番組「百田尚樹・有本香のニュース生放送 あさ8時!」に出演。この日は、経済安全保障アナリストの平井宏治氏をゲストに迎え、中国に進出した日本企業が、技術を強制的に開示させられるリスクについて議論を繰り広げた。
その中で、有本氏はホンダのバイクについて言及。「ホンダっていう会社が昔、バイクを作ってたでしょ? 今、ホンダのバイクとかほとんど聞かないじゃないですか」と切り出した。百田氏は「えっ、そうなの? 僕バイク乗らないから分からないんだけど」と頭をかしげると、有本氏は「中国によってブランドを乗っ取られたって例なんですよ」とキッパリ。中国製の安価なコピーバイク「HONGDA」が途上国の市場を席巻し、「ホンダのバイクは世界的シェアを失ってしまった」と指摘したのだ。
有本氏は政治団体日本保守党の事務総長を務めており、もともと中国に対してはかなり否定的なポジション。ホンダのバイクを例に、中国のコピー文化に警鐘を鳴らすつもりのようだったが、これがそもそもの間違いだった。
「有本氏の話では、いかにもホンダが世界市場で駆逐されてしまったかのように聞こえますが、2022年のメーカー別世界二輪車販売台数のシェアを見ると、ホンダは33.8%で断トツの1位。いまでも立派に生産を続けており、ネット上では『俺のバイク中華製だったんだ!』『パラレルワールドの話かな?w』などと揶揄する声が続出したのです」(WEBメディア記者)
この発言が拡散し大炎上したことを受けて、有本氏は1日夕方に緊急生配信を実施。「不適切な発言でした。ホンダと視聴者の皆様、ここで深くお詫びを申し上げたく存じます。申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
有本氏はここで改めて、2000年代初めにホンダのバイクの模造品がアジア諸国に出回っていたこと、その模造品メーカーとホンダが話し合い、技術指導したうえで現地生産力を上げ、模造品を駆逐していったという企業努力を説明。「私がこの部分まできちんと申し上げればよかったのですが、それを言わないままホンダのブランドが盗まれた、と。それによってホンダのシェアが下がってしまったようなニュアンスで言ってしまった」と反省したのだが、ネット上では《迅速で誠実な対応》《見苦しい言い訳》と賛否が分かれた。
ここ数年、バイクの保有台数は前年対比で2%ずつ減少し、国内販売台数も右肩下がりになっている。しかし、そんな中でもホンダといえば、ライダーたちの憧れのメーカーであることは間違いない。ホンダファンが思わず声を上げたのは、当然といえるだろう。
(ケン高田)