昨年12月、経営統合に向けた検討に関する基本合意書を交わし協議を進めていたが、わずか2カ月で破談となったホンダと日産。もともと経営状態が悪化していた日産を救済する目的もあったが、ホンダの子会社になることを受け入れることができず、提案を拒否した格好だ。
もともと両社はエコカーにおいて異なるシステムを採用。ホンダ側は経営統合にあたって自社ハイブリッド(HV)への統一を求めたが、ここに大きな溝があったようだ。
「日産はeパワーという独自のシステムを採用。高速走行時の燃費はHV車に劣りますが、電気自動車並みに静かで加速性能に優れています。多くの自社製品に採用していることに加え、かつて“技術の日産”と呼ばれた誇りもあったのでしょう」(経済誌記者)
そのため、ネット上でも「破談に至ったのは、日産のプライドの高さが原因」と同社経営陣に対する批判の声も多い。そうした中、ここに来て再評価されているのが元日産社長のカルロス・ゴーン氏だ。
18年に金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕されたが、保釈中の19年12月に密出国でレバノンに逃亡。現在は国際指名手配を受けている身だが、在任中に悪化していた経営状態を立て直したのは事実だ。
「徹底したコストカットで会社をスリム化させ、再起のチャンスはありましたが日産のブランド力は低下。特に北米での販売不振は深刻です。ゴーン氏があのような形で会社から去ったとはいえ、逮捕から6年以上が経っており、経営陣の責任はあまり大きい」(同)
そのゴーン氏も20日配信された「マネーWEB」のインタビューで経営陣に問題があると指摘。そのうえで「私が18年間、チームと共にやってきた仕事はすべてムダになった」と嘆いている。
本人の犯した罪を棚に上げて語るべきではないが、彼が捕まるようなことをせず、今も日産のトップだったらこのような窮地は回避できていたのかもしれない。