怒りのリークか!「日産・内田社長退任ならホンダ交渉再開」英紙報道の気になる情報源

 25年3月期の純利益予想でトヨタの4兆5200億円、ホンダの9500億円に対し、日産は800億円のマイナス。ホンダとの経営統合も消え、業績は圧倒的「一人負け」となった日産は果たしてどうなるのか。

 提携に関心を持つ台湾の鴻海精密工業を交えた合従連衡の第2幕に注目が集まる中、2月17日に英紙フィナンシャル・タイムズが「ホンダ、日産の内田社長が退任すれば統合交渉再開へ」などと伝えたものだから、翌18日の日産株が動いた。

「日産の株価は17日の終値が424円でしたが、フィナンシャル・タイムズの報道を受けて18日は反発。一時は448円まで上げて440円台をキープしました。フィナンシャル・タイムズの報道が思惑買いを呼んだのです」(経済ジャーナリスト)

 それも当然だろう。日産・内田誠社長は統合白紙と同時に「構造改革道半ば」として混乱収束後の26年までの留任を打ち出していた。だがホンダによる子会社化にプライドが許さず固辞したことで、一部ステークホルダーからは非難ゴウゴウ。「そんなことを言っている場合か」というのが大方の見方だったからだ。

 そんな内田社長が辞任して合併交渉が再開すれば、まだ日産の先が見えてくるかもしれない…と日産株が上がるのも道理にかなうというわけだ。

「今回の統合話のような大きな絵は、政府・経産省が描かないと進みません。また、日産のメインバンクのみずほ銀行も、ホンダによる子会社化を水面下で後押ししていたとされます。ところが内田氏をはじめ現経営陣がこれに反発したわけですから、当然、いたるところに反動が生じたはず。フィナンシャル・タイムズの情報源は不明ですが、そんな怒りがまだまだ公然と渦巻いているということではないでしょうか」(同)

 19日、トランプ米大統領が自動車に25%の関税をかける意向を示したこともあり、翌20日の日産の株価は419円まで下落した。

 フィナンシャル・タイムズの報道と株価の動きは、現経営陣の退場を願う大方の見方を反映したものと言えそうだ。

(猫間滋)

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