ウクライナへ軍事侵攻したことで22年4月に国連人権理事会の理事国資格停止処分を受けていたロシア。だが、返り咲きを目指し、理事国を入れ替える選挙に立候補したものの、10日に行われた投票であえなく落選。この結果自体は順当とも思えるが、それでも予想以上に賛成票が集まったことに世界中で驚きの声が上がっている。
当選には国連に加盟する193カ国中、過半数の97カ国以上の支持が必要で、ロシアの理事国入りを支持したのは全体の43%にあたる83カ国。秘密投票のため、どの国がロシアを支持したのかは不明だが、欧米圏以外の地域から多数の賛成票が投じられたようだ。
「ウクライナは被害者、ロシアとプーチン大統領は悪という図式で日本のメディアは報じていますが、西側以外の国の捉え方はそれとは異なっています」(国際ジャーナリスト)
実際、中国やイラン、北朝鮮にアフガニスタンといった反米国家は、早い段階からロシア支持、あるいはロシア寄りの姿勢を打ち出している。また、プーチン大統領は国際刑事裁判所から逮捕状が出ており、国外で身柄を拘束される可能性があるが、「彼が入国しても逮捕されない」と発言したのはブラジルのルラ大統領。ロシアやプーチン大統領を擁護する発言を繰り返している。ブラジル以外でも、アルゼンチン、ベネズエラ、キューバなど、中南米の多くの国がロシア寄りだ。
「アフリカ諸国も大半が親ロシア。プーチン大統領は今年7月、アフリカの『40カ国以上と軍事協定』を結んだと述べており、これらの国が賛成に回った可能性が高い。他にも中東は親米のイスラエルやサウジアラビアをはじめ、大半の国が中立。シンガポール以外のASEAN諸国、インドなども同様の立場です。ただし、中立を謳いながらもロシア寄りの国も多く、一部の国が賛成票を投じたのだと思われます」(同)
孤立どころか国連加盟国の4割以上の国が支持。それを考えれば、西側に屈することなくロシアとプーチン大統領が強気な姿勢を貫くのは当然のことなのかもしれない。