欧米で社会不安を加速!世界に広がる「反イスラエル」の大波とは

 イスラム組織ハマスが仕掛けたイスラエルへの越境攻撃以降、イスラエル軍はガザを完全封鎖して報復の空爆を続けている。以来、現在も物資の搬入がストップ。燃料や水なども底をつき、19日の段階で双方の死者数は5000人を超えたといわれる。

 イスラエル軍による空爆を受け、深刻な人道被害が懸念される中、世界の主要都市では停戦デモが多発している。

 イスラエル最大の支援国であるアメリカの首都ワシントンでは18日、連邦議会の事務所が入るビルの中で、停戦を求める抗議デモが行われた。また、ユダヤ系の平和活動団体も、連邦議会で座り込みを行っていることを公表した。国際ジャーナリストが言う。

「このデモの中には多くのユダヤ人と、ユダヤ教の指導者も含まれているといいます。現地報道によれば、彼らの主張は『ユダヤ人は即時停戦を求めている』『ユダヤ人の名の下に戦争をしないで欲しい』というもの。アメリカこそ強く停戦を求めるべきだと訴えています」

 そして、ヨーロッパにも「反イスラエル」デモによる急速な社会不安が広がっている。

「イギリスのロンドンでは14日、市内中心部にあるBBC本社から首相官邸までの通りで、大規模デモが起こり7人の逮捕者が出ています。また、ナチスによるユダヤ人虐殺で反イスラエル運動には敏感なドイツでも、パレスチナを支援するデモが禁止される中、15日にはベルリンで3500人規模のデモが行われ、西部の都市ボンにあるユダヤ教徒の会堂では、イスラエル国旗が燃やされる事件も発生。反イスラエルの波が大きくなりつつあるようです」(通信社記者)

 また、フランス政府は12日、パレスチナを支持するデモを禁止。ルールを破った外国人は、即刻国外退去処分にすると発表したが、首都パリではこの日、「イスラエルは殺人者だ」などと叫ぶ数千人によるデモが起こり、広場に集まった3000人に対し、警察が放水車で放水するなどして、10人の逮捕者が出る騒ぎになったという。

「ヨーロッパ各国には、ユダヤ教徒、イスラム教徒ともに、大きなコミュニティーがあり、なかでもフランスにおけるイスラム教徒の数は、500万人規模で欧州最大。一方、ユダヤ教徒も50万人と欧州最大ということもあり、今後の状況によっては大規模な対立に発展する恐れもあるでしょう」(前出・国際ジャーナリスト)

 仮に今回のイスラエルによる軍事活動が一時的に収まったとしても、一度火が付いてしまったパレスチナ情勢の安定化は全く見通しがたたなくなった。いや、それどころか、この不安定状況が中長期的に続くことになった、というのが多くの専門家たちの見方だ。

 イスラエル建国から75年、4度の戦争の火種となったパレスチナ問題は今後解決することはあるのだろうか。

(灯倫太郎)

写真はガザ地区への空爆

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