やはり、中国の一部企業とロシアの民間軍事会社は、ズブズブの関係にあったようだ。
AFPは5日、中国の衛星開発会社「長光衛星」が製造する高解像度観測衛星2機を、中国の企業が、ワグネルの関連会社に売却していたことを裏付ける契約書があったと報道。記事によれば、契約書は英語とロシア語で書かれており、記された日付は、22年11月15日。売却価格は衛星2基で3000万ドル、日本円にして約45億円に上っていることが確認された。
「AFPによれば、契約書には衛星売買だけでなく、オンデマンドで画像の提供も行うという条項も含まれており、つまりワグネルは衛星によりウクライナだけでなく、部隊が駐留するリビアや、中央アフリカ、スーダン、マリなどの活動地域の画像も入手できていたことになります」(全国紙国際部記者)
さらに、未確認ながら23年5月下旬には、ワグネルがロシア国内の画像についても提供を求めていたとの情報もあり、それが事実なら、撤退はしたものの、6月に勃発した「プリゴジンの乱」の際にも、その衛星画像が活用されていた可能性がある。
米政府はすでにこの情報を把握しており、仲介取引した中国企業2社を制裁リストに加えると発表した。
ところが、そんな報道がなされた翌6日、今度は米商務省がロシアに米国の技術を使った集積回路(IC)を提供したとして、中国の42企業・団体を新たに禁輸措置の対象に加えると発表。相次ぐ中国企業への制裁リスト追加や禁輸措置に対し、中国から猛反発の声が上がっている。
「商務省によれば、今回明らかになったICは、ウクライナで民間人を標的にしたミサイルやドローンなどの精密誘導装置に使われていた可能性が高く、禁輸対象となった企業・団体には半導体の卸売り商社も含まれているようです。通常はミサイルに使用されるICも武器専用というわけではないため、一度出荷されたものは行き先を掴むのが難しい。今回はおそらく、事前に情報を得たうえで出荷経路を押さえたのでしょうが、こうしたイタチごっこは今後も続くでしょうね」(同)
今回の禁輸措置について、商務省のアクセルロッド次官補は「アメリカに起源をもつ技術がロシア軍事部門に提供されれば、我々はそれを発見し行動する」と強く警告。一方、中国商務省は7日、「中国は中国企業の合法的な権益を断固として守るため、あらゆる必要な措置をとる」とコメント、対抗する姿勢を見せている。
なお、バイデン大統領と習近平主席は、今年11月15〜17日にサンフランシスコで開催されるAPECに合わせて首脳会談を行うと見られており、中国の王毅外相が近くワシントンを訪れる予定だと伝えているが、波乱含みの会談になることが予想される。
(灯倫太郎)