競売で1億円!日本産ウイスキーが世界で評価される理由とは?

 8月16日、希少な“ジャパニーズ・ウイスキー”が香港で競売に掛けられ、日本円にして約1億円となる719万2000香港ドルで落札された。世界で大ブレイクする日本のウイスキーの評価が、改めて示された格好だ。
 
「競売に掛けられたのは、埼玉県秩父市にあるベンチャーウイスキー社が2005年〜14年に発売した『イチローズモルト・カードシリーズ』の54本フルセット。シリーズ全てが揃ったセットは世界に4つしかないとされており、15年には同商品が約380万香港ドルで落札されましたが、その価値が4年で倍になったことになります」(社会部記者)

 今や世界で絶賛される日本産ウイスキーだが、1983年をピークに2008年までに消費量は約8割まで落ち込んだ。しかし、そこから空前のハイボールブームが巻き起こり、15年にはジャパニーズ・ウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝と妻リタをモデルにしたNHK連続テレビ小説「マッサン」が放送されたことで、再び注目が集まっている。
 
「世界的に見れば、国産ウイスキーが冬の時代にあった01年に、ニッカウヰスキーの『シングルカスク余市 10年』が、イギリスの『ウイスキーマガジン』誌のコンテストで最高得点を獲得し、インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションでもメルシャンの『軽井沢ピュアモルト12年』が金賞を受賞。この辺りから、急激に評価を高めています。その理由の一つとしては、ジャパニーズ・ウイスキーは後発だったことから、数少ない蒸留所で多彩な原酒を作り分けなければならず、そのために様々な創意工夫が重ねられ、繊細かつ奥深い味わいが生み出されたことが挙げられます」(ウイスキー店関係者)

 日本のものづくりの素晴らしさは、まだ失われてはいない。

(小林洋三)

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