ウイスキーが世界的なブームだが、特に日本産のウイスキーは「ジャパニーズウイスキー」として、世界中から引っ張りだこになっている。
そのため、日本の大手酒造メーカーのブランド品は品薄状態が続いており、一方で、「小規模蒸留所」が製造する個性溢れる「クラフトウイスキー」に人気が集まっている。
そんな中、あるXユーザーが「クラフトウイスキー」の取り扱いに関する貼り紙をアップし、話題となった。
その貼り紙は、兵庫県のクラフトウイスキーを扱う酒屋が貼りだしたもの。酒屋の関係者が、兵庫県・丹波産を謳うクラフトウイスキーの製造メーカーに工場見学を希望したところ、多忙を理由に断られたこという。さらに、直接現地を訪れたところ、「人の気配は全くなく、電気のメーターも動いていませんでした」と実態を報告、丹波製を担保できないため、自身の店では扱えないとした。
この投稿が波紋を呼び、メディアが当該のメーカーを取材したところ、「海外の提携蒸留所産を混ぜていた可能性もあり、ジャパニーズウイスキーは謳っていませんが、誤解を与えました」などと明かしたという。
実は最近、外国からウイスキーを輸入し、ラベルに漢字で「地名」などを表記して、あたかもジャパニーズウイスキーであるかのように販売するケースが問題視されているのだ。
「日本には開業準備中も含めて多くの蒸溜所がありますが、その全てでウイスキーを作っているわけではありません。中には海外から樽ごと輸入し、日本で瓶詰めだけされたものも存在します。ラベルが日本語表記になっていると、日本で蒸留しているかのように見えるため、注意が必要なんです」(蒸留酒販売関係者)
実際、大手酒造の黄桜は、昨年11月、公式ウェブサイトに「『黄桜 丹波シングルモルト』の類似品にご注意下さい」という注意書きをアップしている。「黄桜 丹波~」は、黄桜の丹波蒸溜所で蒸留した原酒のみを使用したジャパニーズウイスキーだが、パッケージを似せた類似品が出回っているというのだ。
「日本洋酒酒造組合は、2021年に『ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準』を定めています。製法品質の要件に該当しないウイスキーには、『日本を想起させる人名』『日本国内の都市名、地域名、名勝地名、山岳名、河川名などの地名』『日本国の国旗及び元号』などの表示を禁止しているのです。しかし、あくまでも『自主基準』であるため、組合に加盟していないメーカーなどは対象外なんです」(前出・関係者)
クラフトウイスキーの中には、大手メーカーに引けを取らないほど高品質で美味しい商品も少なくないが、気になる銘柄については、しっかりと製造元を確認したほうが良いだろう。
(ケン高田)