反岸田の急先鋒が菅義偉前総理(74)だ。自民党関係者が重い口を開く。
「菅氏が岸田総理を快く思わない根っこには、総理在任期間がおよそ1年で終わったことへの不満や無念がある。21年9月の自民党総裁選で、不出馬を表明した際、表向きの理由は『コロナ対策に専念』というものでしたが、実際は岸田氏が党役員の任期改定を持ち出したのが要因で、結果的に支持基盤を失い、総理の座を奪われたことが悔しくて仕方がないのです」
岸田陣営との情報戦はすでに昨年の春頃から繰り広げられていたようで‥‥。
「そもそも菅氏の頭に総理再登板という意識はない。誰か別のトップを据えて、自分は官房長官として役人に睨みを効かせたい意向のようです。ところが、菅氏が〝反岸田〟の姿勢を強めると、一部メディアが会合の欠席などを取り上げて『体調不安』と書き立てたのです。菅氏は『誰が流したのかはわかっている』と岸田陣営を牽制していました」(自民党関係者)
そんなイライラが爆発したのか、今年1月発売の月刊誌「文藝春秋」に「派閥政治と決別せよ」とのタイトルで掲載されたインタビューで、菅氏は次のように述べている。
〈岸田総理は未だに派閥の会長を続けていますが、小泉純一郎元総理も安倍晋三元総理も、総理大臣の時は派閥を抜けました。岸田総理が派閥に居続けることが、どう見えるかを意識する必要があります〉
菅氏が嫌うポイントは、岸田総理の「派閥政治」だけに限らない。というのも、
「大きな懸念材料は、岸田政権が霞が関の官僚にべったりで、特に財務省の言いなりになっていること。防衛費倍増のための増税案なんて、その最たるものですよ。安倍政権から政治家主導の政治を踏襲してきた菅氏が岸田総理をコキ下ろすのも納得できます」(自民党関係者)
永田町関係者は菅氏の不満をこう代弁する。
「菅氏は近い人物の前では、ことあるごとに総理時代の仕事ぶりを並べ立て、『偉業』と自画自賛しています。ワクチンを1日100万回打ったとか、携帯電話料金の引き下げだとか‥‥。不妊治療の保険適用を決めたのも菅氏でしたね。役人とバチバチにやり合って成果を示してきた割に、新型コロナのせいで支持率はそれほど高くなかったというのが本人としても面白くないのでしょう」
現政権が続けば、官僚主導で政治改革も進まず、庶民は大増税に苦しむ─。そんな危機感を抱いた菅氏はすでに動き始めていた。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう話す。
「ポスト岸田探しが優先事項。岸田批判の根拠になっている『派閥』ではなく、あくまで『勉強会』という形式で、新総理を担ぎ出す意向ではないでしょうか。かつての〝政治主導〟を取り戻したいので、突破力のある河野太郎デジタル相(60)や小泉進次郎氏(42)に期待をかけています。また、現在の政権では非主流派となっている二階派と組んで、石破茂氏(66)、武田良太元総務相(55)などが主要メンバーとなりバックアップしていくでしょう」
これまで目立った動きを見せなかった菅氏だが、
「統一地方選挙、さらにサミットを控える時期の内輪揉めは良くないということで、これまで具体的な行動は控えていました。だが、それらが終わって次に解散ともなれば必ず動く。健康不安が指摘されていますが、まったく問題ないと聞いています」(鈴木氏)
サミット後の選挙で勢力図が激変することも考えられる。
(つづく)