快進撃!シン・ID野球「ノムラの教え」がプロ野球を席巻(3)阪神に残る「81分割ゾーン」

 奇策の連発で「弱者の兵法」を体現するのが、日本ハムの新庄剛志監督(50)だ。ダブルスチールやツーランスクイズを次々と成功させている派手さばかりが目立つが、

「データの裏付けのない浅いところで、ノムさんのマネをしているように映ります。投手に外野守備や打撃練習をさせるのも、実用的なものなのか、いささか疑問符がつく。ただし、いずれもファンサービスを大事にしてきたノムさんの教えを踏襲しているのは間違いない。あまりにも勝たなすぎて、本拠地の札幌ドームがスカスカなのは気になりますが‥‥」(角氏)

 そんなBIGBOSSと同じチームで薫陶を受けた阪神の矢野燿大監督(53)は、今も〝ノムラの遺産〟に助けられている一人だ。

「例年、阪神の投手陣が大崩れしないのはノムさんのおかげです。いわゆる〝野村ノート〟とは、ノムさんがホワイトボードに板書した内容を選手たちがノートに書き写した個人財産。ヤクルト時代はそうでした。ところが、阪神の場合は選手たちにコピーを配布したといいます。なんでも、一部の主力選手から不平の声が上がったからだとか」(スポーツ紙デスク)

 選手個々で解釈にズレがあるであろうノートとは違い、教科書のデータそのものが球団のレガシーとして継承されているという。

「中でも、ノムさんの時代に使われていた81分割のバッティングゾーンのフォーマットは今でも使われていて、今季から阪神に復帰した野村克則2軍バッテリーコーチ(48)が『え、まだ使ってんの!?』と驚いたほどだといいます」(スポーツ紙デスク)

 現役晩年に野村ヤクルトに拾われ、最後のひと花を咲かせてもらった西武の辻発彦監督(63)はどんな心境か。スポーツ紙デスクが締めくくる。

「西武の黄金時代に広岡達朗監督や森祇晶監督の影響を多分に受け、采配や選手の育成面でノムさんの色は一切出ていません。しかし、なぜか周囲に憎まれ口を叩いて〝嫌われる〟ところだけノムさんに似てしまった。スタッフ一同困り果てているようですが、2度のリーグ優勝でしっかり結果は残しています」

 偉大なる導きの生かし方には、教え子たちの個性が見え隠れしているようだ。

*「週刊アサヒ芸能」7月7日号より

スポーツ