イタリアの高級ファッションブランド「ヴァレンティノ」が木村拓哉の次女でモデルのKoki,を起用したウェブCMに批判が殺到し、動画を削除する事態に発展している。これまでもイタリアの高級ブランドは海外向けのプロモーションでたびたび炎上しているが、その根本的な原因はどこにあるのだろうか?
「問題となったウェブCMでは、Koki,が着物の帯の上をヒールを履いて歩いたり、帯を岩に敷いてその上に座るといったシーンが見られました。同CMは2021春夏コレクションのキャンペーン用に作られたもので、公式サイトによれば寺山修司氏が監督を務めた映画『草迷宮』にインスピレーションを受けて制作したものだといい、『クリエイティブなミックスを通じてラディカルな姿勢を表現』したと説明しています。ただ、日本の伝統的な衣服を踏みつけにする行為に《日本文化を冒涜している!》といった批判が集中したのです」(ネットライター)
批判を受けてヴァレンティノジャパンはウェブCMを削除した上で、公式ツイッターで「日本の文化を冒涜するような意図は全くなく、このシーンで使われた布も、着物の帯ではありませんが、多くの方に不快な思いをさせてしまったこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪したのだが、専門家たちから「映像に写っている布は着物の帯以外には見えない」といった指摘が相次ぎ、再び炎上しているのである。
「これでイタリアの高級ブランドが炎上するのは何度目でしょうか。18年には『ドルチェ&ガッバーナ』が中国でのプロモーションで、アジア系の女性が箸を使って不器用にピザを食べる動画を公開し、《中国の伝統を馬鹿にしている》と批判が殺到し、中国で予定していたファッションショーが中止される事態になりました。同年には『プラダ』が真っ黒な肌に真っ赤で分厚い唇をもったキャラクターを発表したものの黒人差別としてキャラクター人形の販売が中止されています」(ファッションジャーナリスト)
翌19年にも、「グッチ」が黒のタートルネックに赤い唇がデザインされたニットを販売し、これも黒人差別と批判され販売中止となった経緯もある。
「こうした炎上が相次ぐのは欧州に根強く残る異文化への軽視が原因だと見られています。高級ブランドが上から目線でアジアやアフリカの文化をイジるというのが、欧州の人にはウケるのかもしれませんが、それを日本や中国のプロモーションでやっても馬鹿にされているようにしか思えませんし、世界に向けて黒人をネタにしたアイテムを販売しても批判されるのは当然です。伝統的な高級ブランドがそれを理解できていないというのが、闇の深さを感じさせますね」(前出・ファッションジャーナリスト)
今後もイタリア高級ブランドの炎上はなくならそうだ。
(小林洋三)