3月13日から始まるJRグループ各社のダイヤ改正に伴い、全国18ヶ所の駅が12日をもって営業終了となる。ちなみに廃駅となるのは、すべて北海道内。いずれも駅周辺の住民は少なく、通勤・通学客への影響はほとんどない状況だった。
なかでもJR石北本線の生野駅(北海道遠軽町・写真)は、田園地帯のど真ん中にある駅。廃止まで残り数日と迫った3月9日、現地を訪れたが駅の周りには建物は見当たらず、少し離れた場所に農家があるだけ。まだ雪に覆われていて、見た目は完全に秘境駅だ。
しかも、あるのは列車2両分しか停められない簡素な短いホームがあるだけ。駅舎や待合室といった建物は一切なく、屋根すらも付いていなかった。
同駅に停車する列車の本数は上下線合わせても1日3本だけ。ダイヤ改正前の時点でこの区間には特急・快速以外に9本が運行していたが、その3分の2は通過。つまり、廃止以前から普通列車も素通りする駅だったのだ。
もともと厳しい経営を強いられていたJR北海道は、近年だけでも14年5月に江差線(木古内〜江差)、16年12月に留萌本線(留萌〜増毛)、19年3月に夕張支線の全線、20年4月に札沼線(北海道医療大学〜新十津川)が相次いで廃止。さらに3月31日には15年1月に高波の影響で線路の土砂が流出し、代行バスでの運行が続いていた日高本線の鵡川〜様似も正式に廃止となることが決定している。
これらをすべて合わせると廃止区間の総距離は230キロを越し、廃駅は約90駅にも及ぶ(※運行中の路線で廃止になった駅も含む)。
かつて網の目のように張り巡らされていた北海道の鉄道網は、今やスカスカの状態だ。そんな状態にもかかわらず、今後、廃止が検討されている駅や路線はまだあるという。
ローカル線や秘境駅にはファンも多いが、採算に見合わず赤字が膨らみ続けているのも事実。新型コロナによる運賃収入の激減が経営悪化に追い打ちをかけていることを考えると、残念ながら廃線・廃駅の流れは今後も続きそうだ。
(高島昌俊)