この資格でナンボ稼げる?(7)ビジネスを成功に導く「タオルソムリエ」

 今や“ジャパンブランド”の一つとして地位を確立している愛媛県産の「今治タオル」。一般的なタオルと異なり、厳格な審査基準をクリアした今治タオルは、柔らかくて吸水性も高く、訪日外国人観光客の間でも人気のお土産となっています。

 このタオルブランドの認定事業を行っている今治タオル工業組合が主催する資格が、今回紹介する「タオルソムリエ」。タオルに関する歴史、文化、技術、製品、顧客サービス、ブランドなど多岐にわたる知識を求められ、主にデパートなどの売り場担当者や繊維メーカーの方たちが受けているそうです。

 それでは、実際に例題を見てみましょう。

〈問1〉1880年(明治13年)頃、手織り機を使って日本で初めてタオルを作ったとされる人物の名前は、①井上コマ、②井上トメ、③井上ツル、④井上マオのうちどれ?

〈問2〉タオルの重さを表す単位として「匁(もんめ)」が使われますが、1匁の重さは①2.75グラム、②2.95グラム、③3.75グラム、④4.75グラムのうちどれ?
 
実際の試験では5択式で50問が出題され、100点満点中80点以上で合格となります。受験料(テキスト代を含む)は初回が1万800円で、2回目以降は8640円。今治、東京、大阪の会場で受験することができます。例題の答えは、〈問1〉は①、〈問2〉は③となっています。

 2007年から始まったこの資格は、これまでに13回開催されており、6399人の申込者のうち合格者は3346人。実に、約半数近くが不合格となっています。というのも、過去問が公表されていないため、どんな問題が出るのか予想しづらく、テキストにある膨大な情報をほぼ網羅して覚えなければならないのです。

 かくいう私も3回目の試験でようやく受かりましたが、「たかがタオルで‥‥」なんて油断してかかると普通に落ちます!

 タオルに関係のないお仕事をされている方でも、タオルソムリエになることでこんな御利益があります。タオルといえば定番のギフトですが、そこでもし「スポーツをする人には吸水性に優れたワッフル織地」「最近子供が生まれた家には肌に優しいガーゼ地」など、相手を気遣ったこだわりの1枚を贈ることができれば、“デキル男”を演出できること間違いなしです。

 タオル専門通販サイト「タオルはまかせたろ.com」を運営し、年商1億2000万円を稼ぐタオルソムリエの寺田元さん(京都工芸社長)も、あるメディアの取材で、「どのような家族構成か」「どんな洗濯機を使っているか」などをとことんヒアリングしたうえで、顧客に最適なタオルを提案していると語っていました。

 相手のニーズにマッチした、たった1枚のタオルで、人の心をつかみ、ビジネスの成功につながることも十分に考えられるのです。

(すずき・ひであき)

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