この資格でナンボ稼げる?(9)すし店でも通ぶれる「日本さかな検定」

 休みの日に釣りに出かける読者も多いのではないでしょうか。私の前職の元上司は船でしょっちゅう海に出ていましたし、釣った魚の写真をSNSにアップする人も多いですよね。土地によって獲れる魚も異なってくるため、いろんな海に遠出するのも楽しみの一つ。そんな釣り好きにおすすめしたいのが、「日本さかな検定」(愛称「ととけん」)。この検定では、魚介類や水産業の知識を測ることができます。

  さっそく例題を見てみましょう。
 
〈問1〉3月に旬な魚の一つには「ニシン」がありますが、北海道・東北地方では別名で呼ばれています。その別名は、①やま、②たけ、③かど、④まつのうちどれ?

〈問2〉生物学的な分類上、カニではなくヤドカリの仲間なのは、①タラバガニ、②ズワイガニ、③毛ガニ、④アカテガニのうちどれ?

 実際の試験でも、こうした四択式で100問出題されます。試験会場は東京、大阪、名古屋など全国主要都市。3〜1級まであり、受験料は個人受験の場合は4200円(3級)〜7300円(1級)。例題の答えは、〈問1〉は③、〈問2〉は①となっています。

 私は2級まで持っていますが、試験の難易度はかなり高めです。例えば、似たような4枚の魚の写真が出て、その中から特定の魚を当てるのは、車の車種を見分けるよりよっぽど難しいですし、出題範囲は魚以外にもイカやエビ、貝にも及びます。それらの産地、名物料理から調理法、さらには公式テキストや過去問ではカバーしきれないようなウンチクや雑学なども問われます。お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建さんも3級を取得しているようですが、一夜漬けで簡単に合格できる検定ではありません。

 さて、この資格のメリットを挙げると‥‥。

 飲食業界への就職・転職に有利なのはもちろんですが、寿司店に行けば、店員さんに聞かずとも、旬な魚が分かっているので「今年の○○の味はどうですか?」と、通ぶった質問をすることもできますよね。とはいえ富山県出身の私は、実家では食べ飽きるくらい毎日魚を食べていたので、東京で寿司店に入る機会はめったにありませんが(笑)。

 資格とは直接関係ありませんが、静岡県熱海市の市場では、釣った魚と地域限定のクーポンを交換してくれるなど、魚の買い取りサービスが全国的に広まっています。また、釣り上級者の中には、高級魚を個人経営の料理屋に売ったりして、しっかり商売にしている方も多いようです。

 販路を広げる時に営業ツールとして活用してもらいたいのが、検定合格者のみが発行できる「認定名刺」。「へ〜、さかな検定1級かぁ。じゃあ、今度釣れたら持ってきてよ」なんてお得意様をゲットできるかもしれませんね。

(すずき・ひであき)

ライフ