「すいません! うつ病になったので休職します」
頼りにしていた部下に突然“ドロップアウト”を宣言されたらどうしますか? 人手不足はもはや大きな社会問題。代わりの人員を探すのも一苦労ですよね。
実際、厚生労働省が2015年に発表した「患者調査」によれば、仕事のストレスなどの理由から、気分障害(うつ病を含む)で医療機関を受診した総患者数は、111万6000人。そうした情勢を受けて、同年には改正労働安全衛生法に基づき、従業員50名以上の会社において「ストレスチェック」が義務化され、ここにきてジワジワとブレイクしているのが、この「メンタルヘルス・マネジメント検定」です。
こういったメンタルヘルス系の民間資格は、実は似たような検定がいくつもあるのですが、この検定の主催元は、大阪商工会議所。そういった意味では、信用度の高い資格と言えるでしょう。それが証拠に同検定の申込者数は、検定開始時の06年度は1万人ほどでしたが、16年度には4万5053人と4倍以上に急増しています。
同じメンタル系の資格に、公認心理士という国家資格がありますが、こちらは大学で専門的に学ばないとなかなか合格できないほどの難関。それに比べて今回の資格は敷居が低く、箔をつけるには十分。そういう意味では、おいしいかもしれませんね。
とはいえ、実際に例題を見ると…。
〈問1〉抗うつ薬は①デュロキセチン、②カルボプラチン、③シタグリプチン、④トロンビンのうちどれ?
〈問2〉心のモヤモヤやイライラなどを言葉にして表現することで、不快だった気持ちが取り除かれて安心感を得られる効果のことを、①ピグマリオン効果、②ツァイガルニク効果、③カタルシス効果、④ハロー効果のうち何という?
このような長文の4択問題が中心となりますが、やはり聞き慣れない専門用語がバンバン出てくるので、きちんと公式テキストを取り寄せるなど、事前の準備は欠かせません。 例題の答えは、〈問1〉は①、〈問2〉は③となっています。
この資格はやさしい順に、Ⅲ種(一般社員向け)、Ⅱ種(管理職向け)、Ⅰ種(経営層向け)に分かれており、私はⅢ種を持っていますが、組織内でのし上がるにはⅠ種を受けておくといいでしょう。
実際、私の知り合いが勤める会社では、この資格のⅡ種を持つことが、「マネージャー職」に就く条件になっているそうです。冒頭のようなリスクを回避すべく、管理職は部下やチームのメンタル管理も求められますからね。
「体は資本」とよく言いますが、現代社会において心はもっと重要。セルフケアにも役立ててほしいですね。