この資格でナンボ稼げる?(3)独立にも役立つ「銀行業務検定」

 昨年は、スルガ銀行やみちのく銀行の不正融資に東日本銀行の不適切融資と、何かと地方銀行の不祥事が取りざたされましたが、こうした銀行業界のルールを知るのにうってつけなのが、「銀行業務検定」。
 
 主に銀行や保険、金融機関の行職員を対象にした検定ですが、基本的に誰でも受検できます。銀行業務検定というのはいわば総称で、その中身は「法務」「年金アドバイザー」「経営支援アドバイザー」など36種目(23系統)の試験に分かれています。今回は私が05年に取得した「融資管理3級」に絞ってお話ししたいと思います。
 
 さて、ここで恒例のクイズです。
 
〈問1〉銀行融資の種類として不適切なものは、①証書貸付、②迂回融資、③手形貸付、④手形割引のうちどれ?
 
〈問2〉資金繰りが厳しくなった企業が、銀行に対して返済条件の変更をしてもらうことを①ペンディング、②シフト、③リスケ、④リバイズのうち何という?
 
 実際の問題は五択で、問題文ももっと複雑ですが、これは銀行員が融資先の企業の債権管理・回収などを行うにあたっての知識を問う試験。問題の正解は、〈問1〉は②、〈問2〉が③となっています。
 
 公式の「問題解説集」をしっかり勉強すれば一般の人でも十分に受かるはず。この本の最新版の定価は2916円とやや高めですが、アマゾンで過年度版の中古本を安く購入して済ませることも可能です。

「銀行マンでもないのに、そんな資格必要?」と思われる方に、この資格の御利益を挙げてみると…。

 この資格は前述のとおり、融資のルールが学べるため、会社の経営者や将来的に独立を考えている人にも役立つはずです。銀行がお金を貸す時は企業のどういうところを見ているのか、回収が滞った際にどんな法的手段を取ってくるのか、企業の倒産をどうやって予知するのか、といった手の内を知ることができるのです。

 まさに、彼を知り己を知れば百戦殆うからず─。銀行に融資やリスケをお願いする際は、有利に交渉を進めることができるかもしれませんね。

 少し話は飛びますが、13年に放送された大ヒットドラマ「半沢直樹」(TBS系)は、銀行内部の不正を題材にしていました。ドラマでは、融資課長を務める半沢直樹が、上司から倒産間近の企業に対して5億円もの融資を無担保で行うように命令されます。結局、そのあとに融資先の企業は計画倒産し、全責任を負わされた半沢直樹は「やられたらやり返す。倍返しだ!」と、債権回収と上司の責任追及に闘志を燃やす一幕がありました。
 
 最終回は40%超えの高視聴率をマークしましたが、もし、この「融資管理3級」を持っていれば、なぜ半沢直樹が融資に反対したのか、登場人物に感情移入しながら、ドラマをもっと奥深く味わえたかもしれませんね。
 
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600

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