この資格でナンボ稼げる?(10)五輪に向け需要増の「東京シティガイド検定」

 いよいよ来年に迫ったオリンピック・パラリンピック「東京2020年大会」。64年大会から56年ぶりとなる東京での開催。以前にも増して国内外からの観光客で賑わいそうです

 この大きな「商機」を前に取り上げたいのが「東京シティガイド検定」。東京都の自然、歴史、伝統文化などの知識を測ることができ、観光客に街の魅力を伝えることを目的に作られました。

 どんな問題が出るかというと…。

〈問1〉1581年に建てられたとされ、今や東京の心霊スポットとしても有名な八王子城(跡)ですが、築城主の名前は①北条氏照、②北条氏時、③北条時政、④北条早雲のうちどれ?

〈問2〉現在、スカイツリーが建っている場所にもともとあったのは、①石けん工場、②食品工場、③鉄筋工場、④生コンクリート工場 のうちどれ?

 実際の問題はマークシート方式による選択問題、正誤問題となっています。この検定では特に級などはなく、受験料は5400円。2003年から年1回実施されており、例題の答えは〈問1〉が①、〈問2〉が④となっています。

 私が富山から上京したのは20年ほど前。今では電車移動にもすっかり慣れて、東京の地理にも詳しくなったつもりでしたが、知らないことって意外と多いんですよね。

 例えば歴史の話を挙げると‥‥。江戸幕府の第5代将軍・綱吉は「生類憐みの令」を出して、今の中野駅周辺に大きなお囲い(犬小屋)を作らせ、30万頭もの犬を保護していたとか。そしてある時、私が別の資格の試験で中野に行ったところ、この跡地に犬の銅像があるのを見て、「あっ、ここがそうか」と思いを馳せたものです。もしこの資格を取得していなければ素通りしていたかもしれません。

 さて、この資格をどうビジネスに生かすのか。

 実は、一昨年に行われた第15回検定で、最も受験者数が多かったのが、タクシー業界の方たち。991人の受験者のうち3割以上を占めていました。というのも、「観光タクシードライバー」のお墨付きを得るには、この資格取得が条件になっていて、収入アップにつながるようです。

 一般的にタクシードライバーの月収は30万円台が平均と言われていますが、ある求人サイトでは「年収700万円以上」の観光タクシードライバーが紹介されていました。また、近年では、ネット上で日本人ガイドと外国人観光客を仲介するマッチングアプリが多数登場。サラリーマンが会社帰りにツアー客と落ち合って穴場を案内することで、時給にして1000円以上の副収入が得られるそうです。

 今や英語を話せなくとも翻訳アプリなどでコミュニケーションが楽しめる時代。語学力よりも、東京の知識に強いほうが重宝されるのではないでしょうか。
                               
(すずき・ひであき)

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