10月30日に原巨人がペナントV2を達成した。開幕4連勝で波に乗り、圧倒的な強さを見せつけてきたが、8月以降の独走状態にちょっとしたケチがつき始めた。
「巨人の勝因は、エース(菅野智之)と4番(岡本和真)がコンスタントに活躍できたことでしょう」(プロ野球解説者)
しかし、今季の優勝についてはこんな見方もされている。4連勝の好スタートで、他球団が一歩引いてしまった、と。つまり、ライバル球団は自軍のエースをぶつける機会が少なかったのだ。
「開幕戦の対戦相手である阪神だけだったかもしれません。エースの西勇輝、ガルシア、青柳、岩貞、後半戦は高橋遥人をぶつけるなど、巨人戦中心のローテーションを組んでいました」(球界関係者)
菅野と沢村賞などのタイトルを争っている中日・大野雄大が、もっと巨人戦で投げていたら、原監督の胴上げは遅れていたかもしれない。プロ野球の世界で「もしもの仮説」はタブーだが、大野は今季、4回しか巨人戦で投げていない。大野は対巨人・3勝1敗。奮闘したといえるが、たとえば、8月28日からの3連戦では、与田剛監督は大野を温存し、次カードの広島3連戦で投げさせている。大野の前回登板は、8月23日のDeNA戦。「中6日」で29日に投げることもできたのに、だ。
「9月にも大野を巨人戦から回避させています。9月25日からの巨人3連戦なんですが、大野は22日に投げ、ローテーション上では巨人3連戦には投げられません。でも、ここで、大野の登板間隔を『中4日』にしていれば、10月10日からの巨人3連戦にも投げることができました」(前出・球界関係者)
新方コロナウイルスの影響でペナントレースの開幕戦は大幅に遅れ、その後も連戦に次ぐ連戦となった。指揮官として、「怪我をさせたくない」との思いもわかるが、このエース回避策が巨人独走を後押ししてしまったと言われても致し方ない。
そういえば、DeNAも主力投手温存のためか、巨人戦でリリーバーのパットンを先発させる「オープナー」の作戦を取り、裏目に出ている。こうしたチグハグな投手采配に対し、原監督はシーズン途中のトレードや中堅・若手に複数ポジションを守らせる積極的な野球を続けた。指揮官として計14年、経験値の差が出たようだ。
(スポーツライター・飯山満)