富士山噴火の前兆!?「幻の富士六湖」9年ぶりの出現に地域住民が戦々恐々

 青木ヶ原樹海の自然が織りなす壮大なロマンか、はたまた富士山大噴火の予兆なのか……。

 7月18日、富士五湖のひとつ「精進湖」の近くに、”幻の富士六湖”と言われる「赤池」が出現して、話題になった。

 赤池が現れたのは、国道139号の瀬々波橋付近で、直径は約20メートルとされるが、「富士五湖のうちの精進湖、西湖、本栖湖など、西側三つの湖は西暦864年の貞観噴火が起きる前までは、『石花海(セノウミ)』というひとつの湖で、現在も地下で繋がっているといわれています。そのため、それら湖の水位が上がることで、この赤池が現れると言われています」(地元紙記者)

 今年は7月に入り長雨が続き、7月21日の時点で、周辺の降水量は約350ミリを記録。

「毎年7月の平年値は約162ミリ程度なので、この時点ですでに倍以上の雨が降り続いたことになります。ただ、赤池が現れるためには降水量だけでなく、近くの精進湖の水位が上昇するという条件が必要なので、今回は、すべてが揃った相当レアなケースと考えていい。実際、赤池が現れたのは、2011年以来なんと9年ぶりのことですからね。そのため、地元では『ラッキー!一生の思い出になる!』という声がある一方、『あの年のように、大きな災害が起こらなければいいが……』といった声もあるんです」(前出・地元紙記者)

 そう、9年前の2011年は、あの東日本大震災が起こった年。

「3月11日に東日本大震災が発生したあと、15日には、静岡県でも大きな地震(静岡県東部地震 マグニチュード6.4、最大震度6強)が起こりました。しかも、その後、富士山では異常湧水や斜面の変形、噴気現象などが多発するなど、異変が立て続けに発生した。そして、そのひとつが”幻の湖”である赤池の出現だったというわけです」(前出記者)

 この静岡県東部地震は観測史上最大規模の富士山直下型地震とされ、南麓と南西麓にあたる富士宮市各地では、大量の地下水が民家の庭先や道路脇からあふれ、田畑などに湧き出すといった、謎の現象も頻発した。

「当時、専門家は、マグマが上昇した熱で富士山の斜面下にある『永久凍土層』が解け出し、それが伏流水となって南西に位置する富士宮地域へ大量湧出した可能性が高い、と分析していましたが、赤池についても、富士山の火山活動が活発になったことで、地温が上昇し、その影響を受け、樹海のあちこちに点在する溶岩洞窟内部の天然氷が溶け出たことが原因では、という説を唱える専門家もいます」(前出・地元紙記者)

 たしかに近年は、ゲリラ豪雨に代表されるように、ごく短時間で記録的雨量を計測することも珍しくない。だとしたら、赤池がもっと短いスパンで出現しても不思議ではないはずだ。そう考えると、幻の湖出現と、富士山の異変との間には、何かの因果関係があるのか……。

「実は、2011年の前に赤池が現れたのは、その7年前の2004年なんですが、この年は、新潟県中越地震が起こった年なんです。もちろん、偶然かもしれませんが、中越地震、東日本大震災ときて、今年はコロナ騒動に九州の豪雨災害ですからね。そんなこともあって、地元では『何か災いが起こる前兆では?』という声があるのも事実。このうえ、大きな災害でも起こらなければいいのですが……」(前出・地元紙記者)

 富士山は日本の象徴であると同時に、昔から日本人の気持ちの中には、富士山に守られてきた、という思いがある。

 コロナ禍で社会全体が大きな打撃を受け続ける今、富士山が噴煙を上げるなんてことのないよう、ただただ祈るばかりだ。

(灯倫太郎)

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