“予言的中率9割!”の漫画が示す「8月20日富士山大噴火」の信憑性

 8月20日に富士山が噴火する…その日が刻々と迫っている——。そんな噂がいま、SNS上をザワつかせている。

 事の起こりは、1999年に刊行された『私が見た未来』(たつき諒著/朝日ソノラマ)なる漫画。同作は著者が見たという予知夢などをベースに、1994年から1998年に雑誌『ほんとにあった怖い話』と『恐怖体験』上に掲載された漫画をまとめたものだが、そのなかにフレディ・マーキュリーやダイアナ妃が早逝すること、さらには「大災害は2011年3月」と東日本大震災を予知するような記述があったことで、震災後、サブカル・マニアの間で『予言の書』として話題になっていた。そんな同著に記載された「富士山噴火」の日が、2021年8月20日とあって、再び『予言書』人気が再燃しているという。

 出版関係者が語る。

「著者の竜樹氏は、1975年に『月刊プリンセス』(秋田書店)で『郷ひろみ物語』という漫画でデビューした女性漫画家です。その後、同誌を中心に『月刊ボニータ』などで執筆し、『人形物語』をはじめ、『時の中の少女』『水色の航空書簡』『タージ・マハル廟のある町』などコミック化された作品も多数あります。そんな彼女が99年に『たつき諒』名義で発売したのが『私が見た未来』なんですが、実は竜樹氏、この作品を最後に漫画家を引退しているんです。しかも、同作の表紙に『大災害は2011年3月』と描かれていたことから、東日本大震災を予言したとされ話題となり、10万円相当の高値がつくプレミアム本として、長年入手困難な状態が続いていました」

 マニア人気が高く、竜樹氏の予言を掲載していたサイトも出現。しかし、その情報を発信していた人物が著者を騙った「なりすまし」だったことが判明。そんな騒動も、この予言書騒動にミステリアスな付加価値を与えることになったようだ。

 あくまで予知夢漫画の中の話で現実性は乏しそうだが、富士山が活火山であることは間違いない。では、本当に富士山が噴火したらどうなるのか。防災問題に詳しいジャーナリストが語るには、

「前回の噴火、宝永大噴火(1707年)と同規模の噴火が起きた場合、まず溶岩流や土石流、火山灰により鉄道、道路がマヒ状態になり、物流、電気、水道、さらに通信がダウンするといった直接的な被害が想定されます。さらに、大量の火山灰が空中に飛散しますから、それが偏西風に乗って東方へ飛来。そうなると、富士山の東にある羽田空港だけでなく、成田空港も使用できなくなり、地方と首都圏を結ぶ大動脈は寸断されてしまう」のだとか。富士山周辺は孤立状態になる危険大だが、しかも火山灰は健康にも大きな被害を与えるという。

「火山灰は微細な粒のため、目、鼻、喉にダメージを与えます。富士山周辺から風下にあたる東側の広い範囲で花粉症以上に悪影響を及ぼす可能性は高いですね」(同前)

 もちろん、現在も富士山は24時間態勢で観測され、地震や地殻変動などの前兆現象を見逃さない態勢がとられている。たが、忘れた頃にやってくるのが「天災」というもの。たかが予言、されど予言……。8月20日がXデーにならないことを、願うばかりだ。

(灯倫太郎)

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