コロナウイルスによる緊急事態宣言が1カ月程度延長する方針が固まり、各方面で混乱が続く中、休校解除を巡る問題が賛否を呼んでいる。
4月29日、臨時休校を5月末までに延長する自治体が相次ぐなか、入学や新学期を9月に変更する案が急浮上。9月入学を巡ってはテレビ会議で開かれた全国知事会でも議題に上がった。
大阪府・吉村洋文知事は「9月入学を僕は実現すべきだと思います。先進7カ国、G7で見た時に全部、8月、9月入学です。世界のグローバルスタンダードです」とコメントをしており、東京都・小池知事、埼玉県・大野知事も賛成を表明している。しかし、愛媛県・中村知事は「9月入学と新型コロナウイルス対策を同じ土俵で議論することに抵抗を感じる」としたうえで、現段階で集中すべきは感染拡大阻止と医療体制の整備だとして性急な導入に反対の立場を表明する意見書を提出。全国知事会でも意見が分断している。
ネットでも「グローバル化を目指してこの機会に改革した方がいい」「9月入学だと入試の時にインフルエンザや積雪の影響も少なそう」と賛成意見もある一方、「本当に9月にコロナは収束してるのか?」「世界がこんな大変な時期に留学しやすくなるとか言ってる場合じゃないでしょ!」と賛否両論の議論が行われている。
「緊急事態宣言明けに休校解除をする予定でスケジュールを組み直していた矢先に、9月入学制が浮上。受験や部活動のスケジュール変更にちゃんと対応できるか……」(教育関係者)
その渦中において、話題に上がっているのが夏の風物詩である「全国高等学校野球選手権大会」の行方。日本高校野球連盟はまだ大会の中止・延期を発表しておらず、今後の発表に注目を集めている。新型コロナウイルス感染拡大で、全国高校体育連盟は高校総体の中止を決定。夏の甲子園を主催する日本高校野球連盟は全国高体連に加盟している組織ではないものの、さすがにインターハイの中止について我関せずとはいかない。
「選手には言えませんが、正直なところ今年はもう無理でしょう……。それに加えて、もし9月入学制となれば、卒業は6月か7月。地区予選のことを考えれば、このままだと夏の甲子園大会そのものがなくなってしまうかもしれません」(前出・教育関係者)
教育、スポーツにも大きな打撃を与えているコロナウイルス禍。果たして、夏の甲子園大会はどうなってしまうのか。
(島崎俊樹)