「大阪女児誘拐犯」はなぜ11時間もかけて在来線で移動したのか?

 大阪で行方不明になった女児が、まさか栃木県で発見されるとは。11月23日、行方不明になっていた大阪市住吉区の小学6年生が、栃木県小山市の交番で保護された。未成年誘拐の疑いで同県に住む35歳の男が逮捕されている。

 直線距離にして約430キロ。遠く離れた場所で保護されたことも意外だが、それ以上に2人が大阪市の住吉区から栃木県小山市まで、在来線を乗り継いで移動していたことにも驚きの声があがっている。

 警察の調べによると、犯人の男は自宅近くの公園で待ち合わせした後、大阪メトロ御堂筋線のあびこ駅から電車に乗り、在来線だけで栃木県小山市へと移動したという。新幹線を使わずに在来線だけで移動すると、ルートによって多少の差こそあれ、およそ11時間はかかる計算だ。

「青春18きっぷの利用者は、東京から大阪まで在来線だけで移動することがよくあります。ただ、これはよほどの物好きでないと苦痛でやってられません。特に静岡は『難所』と言われ、とにかく乗っている時間が長く、しかも車両はロングシートばかり。車窓からの景色も変わりばえせず、しかも大垣、豊橋、浜松、静岡、熱海と何度も乗り換える必要がある。挫折して新幹線に乗り換える人も多いのです」(鉄道ライター)

 鉄道ファンですら嫌う“苦行のルート”をなぜ容疑者は選択したのか。その真意は容疑者の供述を待つことになるが、いくつか考えられる理由はあるという。

 まずはお金だ。新幹線ならあびこから小山まで1万7810円だが、在来線なら1万120円で済む。

「そしてもう1つは防犯カメラを避けるためです。新幹線のホームと改札口には多くの防犯カメラが設置されており、また新幹線の車内も客室とデッキ部分に設置されています。新幹線を利用すれば、防犯カメラに捉えられる可能性は高い。それに対してJR東海の在来線は駅にいくつかあるだけで、車内にはありません。防犯カメラに映る可能性はグッと下がります。容疑者の男性はそれを知っていて、新幹線を避けたのではないでしょうか」(前出・鉄道ライター)

 もしそうだとしたら、容疑者は自身の行動が重大な犯罪であることを認識したうえで、移動していたことになる。真相解明が待たれる。

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