6月27日、ベルーナドームで行われた交流戦明け初戦の西武―日ハム戦、4回裏に西武・今井達也が体調不良を訴えて降板したが、これは熱中症によるもの。他球団のドーム球場は一部球場で開閉機能があるが、基本的には密閉された空間で冷房を完備。夏場でも快適にプレーできるが、壁が設けられていないベルーナドームは「夏は暑く、冬は寒い」と選手の間では以前から不評だった。
昨年4月14日の対ソフトバンク戦では先発の西武・高橋光成が6回で、7月5日の西武―ロッテ戦でもロッテの先発左腕・小島和哉が7回途中でそれぞれ降板。理由はいずれも熱中症で、「投手にとっては“夏場、いちばん投げたくない球場”として有名だった」と明かすのはスポーツ紙のプロ野球担当記者。
ただし、選手だけでなく野球ファンにとっても快適に観戦できるスタジアムとは言い難いようだ。毎年、数試合はベルーナドームで観戦するというライターのトシタカマサ氏は次のように話す。
「春先の開幕直後、秋口のシーズン終盤は快適ですが、夏場はナイターでもドーム内に熱がこもっています。試合前に来場してもゲームが始まる頃には汗だくになっており、観戦時には着替えやタオル、冷感グッズに塩タブレットが欠かせません」(トシタカマサ氏)
NPBの各球場は飲み物の持ち込みを禁止、またはソフトドリンクのペットボトルはOKでも容量制限を設けているところが多い中、ベルーナドームには上限がない。そのため、夏場はペットボトルを凍らせたものを持ち込むファンも多いそうだ。
「私もそうしています。これに関しては良心的と言えますが、熱中症対策の一環として容認しているのかもしれませんね」(同)
あと、注意しなければならないのはアルコール。野球観戦ではついビールが飲みたくなるがアルコールには利尿作用があり、熱中症のリスクを高めてしまうからだ。
「私はお酒を飲みませんが、野球ファンの友人たちは口を揃えて『ベルーナだとビールを飲む量が増える』と言っていたため、気をつけたほうがいいと思います」(同)
そんなベルーナドームだが、夏場の冷涼化対策として7月8日の楽天戦から大規模なミスト設備を導入する。どの程度の効果があるのかは分からないが、サウナと揶揄されるほど過酷な環境が改善されることを期待したい。