旅の計画を立てるとき、手軽さもあって利用する「予約サイト」。ただ、お得感に心が踊る半面、現地で思わぬトラブルに直面することもあるようだ。
東横INNは先ごろ、「弊社が提携予約サイトに提供している空室枠が、一部のエージェントによって海外予約サイト(Agoda等)で転売されている」として、注意喚起を発表した。
宿泊予約情報がホテルに通知されず、「到着時に予約の確認ができない」といったトラブルが発生。また、予約完了メールに記載された部屋タイプや日程と、実際にホテルへ届く情報が食い違い、当初のプランと異なる部屋に案内されるケースも少なくないという。さらに、予約からホテルへの情報反映までに数日のタイムラグがあり、チェックイン時に確認が取れず、長時間待たされたり、最悪の場合は宿泊を断られる事態も起きている。加えて、本来設定された宿泊料金よりも大幅に高い金額で販売されるケースもあり、利用者側に不利益が生じる例も報告されている。
実は、昨年11月にも、ルートインが同様の注意喚起を行っている。ルートインは「提携予約サイトから提供された空室枠が一部海外予約サイトによって二次販売されている」ことを公表。予約情報がホテルに届かない、あるいは遅れて届くことで予約確認ができないケースや、予約完了メールの内容とホテル側へ通知される情報が異なる例を列挙した。
「これらのトラブルの背景には、ホテル側と海外予約サイトとの間に仲介業者が複数介在し、情報のやり取りが複雑化していることがあります。特に日本語対応が十分でない海外の現地プラットフォームでは、細かな要望や変更依頼が正確に伝わらず、利用者が本来受けられるサービスを享受できないリスクが高まるのです。例えば『朝食付きプラン』を予約していたにもかかわらず、現地で朝食が付かない、『禁煙ルーム』のはずが喫煙室に案内されて追加料金を請求されるといった事例が多数報告されていますね」(旅行雑誌編集者)
では、安心してホテルを利用するためにはどうすればよいのか。最も確実なのは、ホテルの公式サイトや国内の正規代理店を通じて直接予約を行う方法だ。公式サイトであれば、プラン内容の確認や変更、キャンセル手続きがスムーズに行え、不明点があればホテルに直接問い合わせることができる。価格の安さだけに目を奪われず、「万が一のときに対応してくれるか」を重視することが、快適な旅を実現するカギだ。
ホテルの予約を、ネットショッピングでワンクリック購入するように済ませる前に、いったん立ち止まって「本当に安心できる窓口か」を見極める、そのひと手間が、思わぬトラブルを防ぎ、安心して旅を楽しむための最善策となるだろう。
(ケン高田)