ウクライナ戦争の停戦をめぐり、2月18日にサウジアラビアで行われた米露2カ国による高官協議。この協議に対し、28日にホワイトハウスで行われたウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談では、ゼレンスキー氏が、「我々は招かれていない」と反発すれば、トランプ氏も「(戦争を)始めるべきではなかったし、取り引きをすることもできた」と逆に批判。交渉は決裂したばかりか、大統領執務室で前代未聞の怒鳴り合いが勃発したのは周知の通りだ。
この状況にネット上では、《ウクライナの真の敵は米国だった》《プーチン大統領よりトランプ大統領のほうがタチが悪い》などのコメントが殺到。ただ、26日にはプーチン大統領もロシア国内のレアアースについて米国企業との共同採掘に前向きなコメントをしており、先日の2国間協議では、この件についても話を詰めていたと見られている。
また、停戦についてだけでなく、戦後の勢力圏についての話し合いも行われたとの報道もある。この協議については、多くのメディアや専門家の間で、第二次大戦末期の1945年2月に米国と英国、ソ連の3カ国で大戦後の秩序や領土についての取り決めが行われたヤルタ会談になぞらえて、「ヤルタ2.0」とも呼ばれている。
「国力で米国に劣るロシアは、米国と友好関係を築きつつ、旧ソ連圏の国々に親露政権を樹立させて勢力圏を拡大させたい。それが今後のロシアの基本戦略となるでしょう。そうしたシナリオについて、ある程度の合意を米国側から得られたのかもしれません」(前出・ジャーナリスト)
そして、このシナリオによって大きな打撃を被るのがEUだという
「米露がツートップで突き進むということは、国際社会でEUの影響力が急低下することを意味します。トランプ氏は、前回の大統領就任中の2018年、米CBSニュースのインタビューで『EUは貿易上の敵』と述べており、その姿勢は現在も変わっていません。ロシアと手を取り合い、パートナーシップを強化させることは、米国にとって対EUという点で大きなプラスになるのです」(前出・ジャーナリスト)
もしかしたら、今後、数年もしないうちに国際社会の勢力図が大きく変わってしまうかもしれない。