おしゃれ家電として人気を博した電機メーカー「バルミューダ」の株価の下落傾向が止まらない。
2021年1月に最高値の1万610円を付けた株価は、その後、絵に描いたような右肩下がりを続け、今年1月24日には一時812円の安値を記録した。
周知のように、同社は03年の創業以来、デザイン性の高い体験価値にこだわった製品を送り出してきた。10年に発売した扇風機「グリーンファン」は、既存の製品にはなかった風の流れとやわらかさが注目を集めヒット商品に。また、15年発売の「バルミューダ・ザ・トースター」は、水蒸気を使うことでパンの表面はサクッとした食感、中はしっとりとした状態で焼き上げるという画期的な技法で爆売れした。
「その後も、電気ケトルやオーブンレンジなど、数々の商品を発表して業績を伸ばしましたが、21年11月に発売した『バルミューダフォン』が大失敗。独自の操作性のカスタマイズが裏目に出て、《使いづらい》《何がしたいのかわからない》と酷評を浴びました。23年度第1四半期には5億3600万円の特別損失を計上しています」(家電ライター)
同社では現在、海外での売上比率の拡大を目指しており、第1弾の商材として日本古来のやかん型電気ケトル「ムーンケトル」を発売。ところが、この商品も評価は微妙なようで…。
「外国人受けするデザインと、1℃単位で温度調整ができるなど実用性もありますが、転倒湯漏れ防止構造がない。また沸騰後、表面温度がかなり高温になるため、子どもやペットがいる家庭では不向きと言えそうです。また、ほとんどの電子ケトルが1万円以下で購入できる中で、2万7500円という高価格も気になるところです」(前出・ライター)
今冬にはアルミダイキャスト製の「カセットコンロ」を発売したが、1万9800円という価格に市場の反応は鈍いようだ。
一時は「日本のアップル」ともいわれたバルミューダ。株価反転につながるかつてのような爆発的ヒット商品を生み出せるか。
(ケン高田)