バルミューダが大幅売上減で人員削減へ 携帯電話事業の失敗は取り戻せるか

 バルミューダが2023年度12月期第3四半期(1~9月)の業績を発表し、23年12月期の連結業績予想を下方修正したことが明らかとなった。23年度業績予想を下方修正するのは5月に続いて2度目となり、寺尾玄社長は「非常事態」だとしているが、ここから同社は立ち直ることができるのだろうか?

「第3四半期は売上高が36.3%減の79億5500万円で、純損益は18億2000万円の赤字となりました。寺尾社長は苦戦の要因として外出機会の増加による支出先の変化や物価上昇による生活防衛意識の影響などを挙げていますが、バルミューダフォンによる失敗の影響も小さくはないでしょう。もともとバルミューダはニッチなところでデザイン性の高い高価格帯の商品を投入することでファンを増やしていましたが、バルミューダフォンは、デザイン性は高いもののスペックに合わない割高な商品という印象を世間に与えてしまい、ブランドイメージを大きく塗り替えてしまいました」(経済ジャーナリスト)

 コロナ禍では多くの商品が値上げされたこともあり、消費者がデザイン性よりも実用性を重視するようになったことも失速の要因のひとつだろう。今後、バルミューダは「売上総利益率の改善」や「固定費の圧縮」「家電カテゴリーの積極的な展開」をしながら最速での黒字化を目指すとしており、大幅な人員の削減も進めていくという。

「まさに非常事態といえる状況ではありますが、実は光明もあります。というのも、今バルミューダの調理家電『Pro』シリーズが売れているのです。仕上げの焼き色をつける機能を備えたトースター『BALMUDA The Toaster Pro』は当初の計画の150%を超える売上を記録。極厚鋼板でステーキが美味しく焼けるホットプレート『BALMUDA The Plate Pro』も想定を超えるヒットとなっています。見た目だけというイメージからひとつ付加価値を加えることで、今まで女性の購入者がメインだったものが男性の購入者が急増したといいます。今後はProシリーズのラインナップを増やすことで、起死回生となるかもしれません」(同)

 まだバルミューダの火は消えていない。

(小林洋三)

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