スマホ事業撤退「バルミューダフォン」が酷評された2つのポイント

 バルミューダがスマートフォン事業から撤退することを発表した。2021年に発売された「BALMUDA Phone」はネット上で散々な評価を受けたことでも話題になったが、なぜあそこまで厳しい指摘にさらされなければならなかったのか。

 5月12日に開かれた決算会見で寺尾玄社長は「外的要因もありますが、自分たちおよび自分の力不足だったなと痛感しています」とスマホ事業終了を明らかにした。

「撤退を決めたのは今年の4月で、ギリギリまで次期モデルの開発を進めていたそうですが、原材料価格の高騰や半導体不足、為替の影響などもあって断念せざるを得なかったといいます。なお、今後もしばらくサポートは継続し、セキュリティアップデートは今年11月までですが、脆弱性などが見つかった場合は対応を検討するとしています」(ITライター)

 バルミューダはトースターや扇風機、電気ケトルなどニッチな市場でデザイン性の高い商品を提供して人気を得ていた。しかし、21年8月に強豪がひしめくスマホ事業に参入することを表明。発表されたBALMUDA Phoneは寺尾社長自らが「河原に落ちている石」をイメージしてデザインしたというバルミューダらしいオシャレな商品ではあったものの、スペックに見合わない強気の価格、またデザイン重視による使いづらさという2つの点に疑問の声が相次いだ。

「中身よりデザイン性重視の商品はいくらでもありますし、それが悪いというわけではありません。しかし、それがスマホとなると話は別。肌身離さず持ち歩き頻繁に使用するため、低スペックによるもっさり感や、一般のスマホホルダーが使えなかったり、置いて使う際に不安定といった点は致命的なデメリットになる。そのためBALMUDA Phoneはデザインが良いスマホというよりも、『デザインだけ』のスマホという評価になってしまったのだと思います」(前出・ITライター)

 バルミューダには、この経験をバネに消費者を惹きつける商品を開発してもらいたいものだ。

(小林洋三)

*画像はイメージです

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